2018.12.11
, EurekAlert より:
定期的な赤肉(牛肉、豚肉)の摂取は、腸内細菌によるTMAOの生産を促進し、腎臓からの排泄を抑制することで心血管疾患のリスクを高めるようだ、という米国クリーブランドクリニックからの研究報告。
研究チームは、先行研究において、腸内細菌が消化中に生成する副産物のひとつTMAO(トリメチルアミン N-オキシド)が、心筋梗塞や脳卒中など心血管疾患の発症へとつながる可能性を示していた。TMAOは、腸内細菌が赤肉、肝臓など動物製品に豊富なコリン、レシチン、カルニチンを代謝して作り出す。
今回の食事介入研究において、研究チームは、赤肉を主要なたんぱく源とする食事が、白肉(家禽類など)または肉以外を主要なたんぱく源とする食事に比べて、有意に血中TMAOレベルを上昇させることを発見した。慢性的な赤肉の摂取は腸内細菌によるTMAOの生産を促進し、腎臓の排出効率を低下させた。赤肉食によって起こるどちらの反応もTMAOレベルの上昇に寄与し、これらは動脈硬化と心疾患の合併症の発症にリンクする。
高濃度の血中TMAOは、心筋梗塞、脳卒中、早死の強力な予測因子であることが示されている。
研究チームは、113名の参加者にランダムな順番で、赤肉、白肉、肉以外(主として菜食主義食)のいずれかのたんぱく源をエネルギー比で25%含む完全な食事計画を実行した。各々の食事計画の間には洗い出し期間が設けられた。
1か月の赤肉食の後、参加者の大部分は血中及び尿中のTMAOの上昇を経験した。赤肉食によって、白肉食および肉以外食の時の約3倍の上昇がみられたという。参加者の中には10倍増加した者もいた。
研究チームはまた、慢性的な食事選択が腎臓による化合物の排泄効率に影響を及ぼすことも発見した。赤肉食はTMAOの排泄を低下させ、カルニチンとその代謝物の排泄を促進した。本研究は、この腎臓効果を示した最初のものであるという。
「我々は、生活習慣因子が心血管系の健康に重要であることを知っており、これらの知見は、先行研究におけるTMAOの心疾患とのリンクの上に作り上げられている。それらは食事介入が、TMAOレベルを減少させて心疾患のリスクを低下させるための有効な治療戦略であるというエビデンスを供給している」と主任研究者のスタンリー・ヘイゼン博士は語っている。
出典は『欧州心臓雑誌』。 (論文要旨)
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