2018.12.11
, EurekAlert より:
コーヒー中の2つの化合物が協力してパーキンソン病、レビー小体型認知症と戦うかもしれない、という米国ラトガー大学からの研究報告。
先行研究で、コーヒーの摂取がパーキンソン病の発症リスクを低下させることが示唆されている。コーヒーの有効成分としてはカフェインが有名だが、他にも保護的に作用する多くの成分が含まれており、その多くはまだよくわかっていない。
研究チームは、コーヒー豆のワックスコートに含まれる、神経伝達物質セロトニンの脂肪酸誘導体である、EHT(エイコサノイル-5-ヒドロキシトリプタミド)に着目した。EHTは、マウスの脳を、パーキンソン病やレビー小体型認知症に関連した異常たんぱく質の蓄積から保護する働きがある。
今回の研究では、EHTとカフェインが協同的に作用してより強い脳の保護作用を示すことが、マウスを用いた動物実験で示された。研究チームは、少量のカフェインもしくはEHTを別々あるいは一緒にマウスに投与した。各々が単独では効果を示さない量でも、一緒に投与することで有害たんぱく質の蓄積を予防する効果が見られたという。
つまり、EHTとカフェインは少量でも協同的に作用してこれらの疾患の進行を止めることが期待できるというのである。今回の実験では、脳の変性まで止めるかどうかはわからなかった。
「EHTは様々なコーヒーに含まれているが量はさまざまである。有効に使うためには、適切な量と割合を決定することが重要である。というのもカフェインばかり大量に摂ることになってはかえって健康によくないかもしれないからだ」と主任研究者のマラール・ムラディアン教授は語っている。
出典は『国立科学アカデミー論文集』。 (論文要旨)
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