2018.12.11
, EurekAlert より:
リジンが発がん性のある中間代謝物に分解される過程についての新たな発見をした、という独コンスタンツ大学からの研究報告。
研究チームは、特異的な酵素を探していた。その結果発見したのは、より根源的なもので、それゆえ教科書に書かれるような知見であったという。
リジンはアミノ酸の一種でありたんぱく質の構成要素となる。細菌やその他の有機生命体において、リジンは分解中にエネルギーを生成する。
「我々は、この分野でもはや新たな発見があるとは思っていなかった。だがそれが起こった。多くの細菌におけるリジンの分解過程についてはほとんどなにも知られていなかった」と主任研究者のイェルグ・ハーティッヒ教授は語っている。
「今回発見した経路は、未知の経路をたどる全く新しい代謝経路である。これまでリジンは分解過程で直接的に糖を得られない2つのアミノ酸の1つと考えられており、グルコジェニックではなくケトジェニックであって、脂肪酸代謝のための前駆体が得られると考えられていた。ここから脂質の生合成が可能になるのである。」
研究チームは、結晶構造から鍵となる酵素であるグルタル酸水酸化酵素の構造的特徴を明らかにした。そしてグルタル酸とヒドロキシグルタル酸がリジンの中間代謝産物であることを発見した。ヒドロキシグルタル酸の酸化が、中心的な代謝物であるα-ケトグルタル酸を作り出し呼吸鎖へと繋がる。最終代謝産物のコハク酸と共に、リジンはグルコジェニックな分解経路ももっていたのである。
「我々が発見した分解代謝経路は、リジンがグルコジェニックに分解される世界で最初の発見である」とハーティッヒ教授はコメントしている。
出典は『ネイチャーコミュニケーション』。 (論文要旨)
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