2018.12.7
, EurekAlert より:
二つの原住民族の研究から、西洋型の食生活の健康とウェルビーイングに対する影響が明らかにされた。米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校からの研究報告。
健康の健展からいえば、チマネ族は一つのモデルケースである。ボリビアアマゾンに住む原住民族であるチマネ族には心疾患とほぼ無縁である。彼らには高血圧が極めて少なく、肥満も少ない。コレステロール値も比較的健康なレベルに留まる。これらの因子は加齢によっても変わらないようにみえる。
また2型糖尿病の発生率も最少であることから、研究者らは、チマネ族の心血管系の健康に及ぼす食事の影響の影響と、彼らがよりグローバル化と市場の圧力に曝されるようになった時にどうなるかを考えるようになった。
トーマス・クラフトとマイケル・ガーヴェンら研究チームは、NIHが資金援助するチマネ健康・生活史プロジェクトの一部として、チマネ族の通常の食生活を初めて系統的に検証し、それを近隣の類似した言語を話し共通の先祖をもつモセテン族と比較した。モセテン族は外部からの影響をより強く受けている。
「我々の先行研究は、チマネ族がこれまで研究された中で最も健康な心臓をもっていることを示している。それで自然にその原因と方法を理解したいという多くの興味が起こった」とマイエル・ガーヴェン考古学教授は語っている。
研究チームは、米国国民健康・栄養調査(NHANES)と同じ測定法を採用し、1,299名のチマネ族と229名のモセテン族に複数回24時間思い出し法による食事調査を実施した。既出および独自の栄養価推定と、ポーションサイズ推定から、食事摂取量についての詳細を明らかにした。
チマネ族のカロリー摂取量は高く2,433-2,738kcalであり、炭水化物とたんぱく質が多くて低脂肪であった(各々64、21、15%)。加えて、チマネ族の食事はあまりバラエティがなく、ほぼ3分の2のカロリーは複合炭水化物、特にプランテンと米に由来した。残りの16%は、40種類を超える魚から、6%は野生の獣肉から。8%だけが市場で購入した食品だった。
食品の低い多様性にも関わらず、研究チームはチマネ族の日々の食事における微量栄養素の欠乏症の根拠をみつけることはなかった。カルシウム、いくつかのビタミン(D,E,K)は不足していたが、カリウム、マグネシウム、セレンは米国に比べてかなり過剰であった。食物繊維は米国やモセテン族のほぼ2倍だった。
5年を超える研究の間に、研究チームはチマネ族の総カロリーと炭水化物の摂取量が有意に上昇し、とりわけ市場のある町の近隣の村でそれが顕著だったことを発見した。ラード、油、砂糖、塩のような調味料の使用も有意に上昇した。モセテン族はチマネ族よりも多い砂糖と調理油を使っている。
結論:複合炭水化物に富む高カロリー食が、低い心血管系疾患リスクと関連しているようだ。少なくともそれが高い身体活動量とペアになった場合にはそうであるようだ。チマネ族は一日平均17,000歩を歩く。米国人は5,100歩に過ぎない。豊富な食物繊維と低い脂肪、塩、加工された糖質の食事から離れることで、変化中の集団には深刻な健康リスクが見られる。ボリビアにおける栄養の変化は、チマネ族の体脂肪とBMIの上昇と平行しており、チマネ族の低い心血管系疾患の有病率はもはや続かないことが示唆される。
出典は『米国臨床栄養学雑誌』。 (論文要旨)
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