2018.12.3
, EurekAlert より:
醗酵乳製品を豊富に摂取する男性は、ほとんど摂取しない男性に比べて、冠動脈疾患の発症リスクが低いようだ、という東フィンランド大学からの研究報告。
極めて多量の非醗酵乳製品の摂取は、逆に、高い冠動脈疾患のリスクに関連付けられるようだという。
先行研究において、チーズ、ヨーグルト、クワルク、ケフィア、フィールミョルクなどの醗酵乳製品は、その他の乳製品に比べて、血中脂質プロフィールと心疾患のリスクにより肯定的な影響を及ぼすことが示唆されていたが、かならずしもはっきりした結論は出ていなかった。
今回の研究では、東フィンランド大学が進めている「クオピオ虚血性心疾患リスク因子研究」において、約2千名の男性を対象に、醗酵乳及び非醗酵乳が冠動脈疾患の発症リスクに及ぼす影響が検討された。参加者の研究開始時の1984-1989年の食事習慣が調査され、その後平均20年間追跡調査された。期間中に472名の男性が冠動脈疾患イベントを経験した。
参加者は、乳製品の摂取状況によっていくつかの群に分けられた。そして最も摂取量の多い群と最も少ない群の違いが比較検討された。同時に種々の生活習慣、栄養因子などの影響も考慮された。
脂肪3.5%未満の醗酵乳製品の摂取量に応じて多い群から低い群まで4群に分けた時、最も多い群の男性は、最も低い群の男性に比べて、冠動脈疾患の発症リスクが26%低かった。低脂肪醗酵乳製品としてはフィールミョルクがもっとも一般的であった。チーズのような高脂肪醗酵乳製品には、冠動脈疾患の発症リスクとの関連はみられなかった。
非醗酵乳製品の摂取が極めて多い男性は、冠動脈疾患の発症リスクが高まることを研究チームは発見した。このカテゴリの製品で最も多かったのは通常の牛乳であり、1日平均0.9リットル以上が極めて多い群に分類された。摂取が少ないことと発症リスクの間には関連がみられなかった。
「ここフィンランドでは、この数十年間で人々の摂取する乳製品が変化してきている。例えば、牛乳とフィールミョルクの摂取は低下傾向にあり、ヨーグルト、クワルク、チーズなどの醗酵乳製品が普及してきている」と主任研究者のユルキ・ヴィルタネン助教授は語っている。
出典は『英国栄養学雑誌』。 (論文要旨)
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