2018.11.28
, EurekAlert より:
健康によさそうだと信じてグルテンを控える人が増えているが、その行動は正しいのだろうか。デンマーク・コペンハーゲン大学の研究によると、低グルテン食のみでは効果は期待できず、野菜や玄米・その他の穀類由来の食物繊維の豊富な食事と組み合わせた時に、腸内細菌叢を改善して胃腸の不快感を軽減したり、体重を少し減らしたりするようだという。
グルテンとは、小麦やライ麦に含まれるたんぱく質の一種。小麦アレルギーや、セリアック病(グルテンを摂取すると、様々な合併症を起こす自己免疫疾患)の患者などはグルテンを避ける必要があるが、患者でないのに控えているという人が近年増加している。
この動向は、アレルギー等の患者以外の人にとって低グルテン食は推奨されるべきか否か、という論争を巻き起こしている。
今回、健康なデンマークの成人を対象に行った介入研究では、低グルテンかつ食物繊維の豊富な食事によって、腸内細菌叢が変化し、鼓腸(腸内にガスがたまりお腹が張る状態)などといった胃腸の不快な症状を軽減したり、少々減量につながったという。これらの効果は、腸内細菌の構成や機能が変わったことに関連しているようだ。
研究者らは、今回の効果の主因について、健康な人においては低グルテン食そのものというよりも、食物繊維の供給源が小麦やライ麦から野菜・玄米・トウモロコシ・オーツ麦・キヌアに置き換わったためではないかとしている。
低グルテン食は、欧米では20%にのぼるとされる炎症性腸疾患や過敏性大腸群の患者の、胃腸症状の軽減のために勧められることがある。最近の研究では、健康なのに低グルテン食を好む人のいることが示唆されているが、このような食事は多くの人が考えるような健康的な選択肢ではないかもしれない、とのことだ。
出典は『ネイチャーコミュニケーション』。 (論文要旨)
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