2018.11.19
, EurekAlert より: 
低脂肪・高炭水化物食と、高脂肪・低炭水化物食では、どちらが身体に良いだろうか。あるいは脂肪の種類は何が良いのだろうか。米国ハーバード大学の研究者らは、様々な専門家と協議してひとつの合意に達したという。
研究者らは、全ての人に当てはまるような、ベストの脂肪・炭水化物比率は存在しないこと、糖分と精製穀物が少ない全体として高品質の食事が、ほとんどの人にとって健康体重を維持し慢性疾患のリスクを低く抑える助けになることに関して合意した。
「これは、我々がダイエット戦争を超越するためのひとつのモデルケースである」と筆頭研究者のデビッド・ルードヴィヒ教授は語っている。「我々の目標は、専門性の異なる領域から研究者を集めてチームを作り、差異を隠すことなく合意に達する領域を同定することである。」
本レビューは、2018年11月15日付で『サイエンス』誌オンライン版で出版された。
研究者らは、脂肪と炭水化物の食事ガイドラインにおいて対照をなす3種類の立場についてのエビデンスを精査した。
1.脂肪は多くの慢性疾患のリスクを高めるので低脂肪食が最適 2.加工された炭水化物は代謝にネガティブな影響をもつので、低炭水化物(またはケトジェニック)・高脂肪がより健康に良い 3.ほどほどの脂肪と炭水化物は、健康に有意な影響を及ぼさない。重要なのは、脂肪と炭水化物の起源の種類である
脂肪と炭水化物の質に焦点をあてることについては合意が取れた。飽和脂肪、トランス脂肪に代えて不飽和脂肪にすること、精製炭水化物に代えて全粒穀物、非でんぷん性野菜にすること。それで大部分の人々が広い範囲の脂肪-炭水化物比率の摂取において良好な健康を維持することができる。
他方、合意が取れず、今後の研究課題とされたのは以下のようなものである。
1.摂取カロリーにかかわらず、脂肪・炭水化物の比率を変えることで体組成に影響が及ぶ? 2.ケトジェニック食は、穏健な炭水化物制限を超える代謝上の利益を持つ(特に糖尿病において)? 3.超低炭水化物食においては、特別な種類の脂肪(例えば飽和脂肪)の最適摂取量がある?
これらの疑問に答えることで、より効果的な栄養推奨につながるだろう、と研究者らは述べている。
出典は『サイエンス』。 (論文要旨)
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