2018.11.16
, EurekAlert より:
加齢と寿命の短縮は、部分的には酸化ストレスが原因と考えられている。独フリードリッヒ・アレクサンダー大学エアランゲン-ニュルンベルクなどの研究チームは、亜鉛が有機分子を活性化して酸化ストレスから防護することを発見した。
亜鉛は微量元素として我々の健康維持に必須の栄養である。研究チームは、亜鉛が、ワイン、コーヒー、茶、チョコレートなどの食品に含まれる成分と共同で、過酸化ストレスに対するスーパーオキシド反応からの保護効果を持つことを発見した。この成分とはポリフェノールに含まれるヒドロキノンで、匂いや味覚に関与している。亜鉛はヒドロキノンを活性化し、細胞呼吸の副産物で体内の分子を傷害するスーパーオキシドから保護する。スーパーオキシドは加齢プロセスや炎症、がん、神経変性性疾患などで役割を担っていると考えられている。
ヒドロキノン単独ではスーパーオキシドを破壊する能力はない。けれども、亜鉛とヒドロキノンの組み合わせでスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)のような機能をもつ金属複合体ができあがる。この酵素は、酸化によって起こされる分解プロセスから身体を保護し、抗酸化効果をもっている。このように、スーパーオキシドは代謝され生体が傷害されることから保護される。酸化ストレスが排除されるのである。
初めてこの酵素の機能がマンガン、鉄、銅、ニッケルのような酸化還元活性遷移金属なしにコピーできることが示された。これらの金属には抗酸化効果もあるが、大量に摂取すれば酸化ストレスが上昇することで打ち消される。亜鉛はそれらの遷移金属に比べてはるかに毒性は低いので、より少ない副作用の薬剤やサプリメントになる可能性がある。あるいは、ヒドロキノンを含む食品に添加することで、摂取者の健康に寄与できるかもしれないという。
もしかしたら、将来亜鉛を添加したワイン、コーヒー、茶、チョコレートが販売されるかもしれないが、ただしアルコールはこの組み合わせ効果を打ち消してしまう、と研究者はコメントしている。
出典は『ネイチャー化学』。 (論文要旨)
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