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[子供]  母乳児と人工乳児における腸内細菌の類似点と相違点
2018.11.6 , EurekAlert より:   記事の難易度 3
  

人工乳は母乳の栄養素を模倣するように作られているだけでなく、腸内細菌の生育にも同様の影響を及ぼすが、細菌の反応は必ずしも同じではないようだ、という米国セントルイス・ワシントン大学からの研究報告。ただし、この違いがどのような意味を健康に対して持っているかはかならずしも明らかではない。

「人工乳製造者は、成分の微調整を継続しており、腸内細菌に及ぼす影響についても非常にうまく調整されている」と主任研究者のゴータム・ダンタス教授は語っている。「けれども、ほとんどすべての研究が、その細菌の種類を同定することに向けられており、細菌がなにをしているかを調べていない。我々が今回発見したのは、それら細菌は同じ物に見えるが、同じことはやっていない、ということである。」

ダンテス教授と筆頭研究者のエメ・バウマン=ドゥーデンホッファー助教授ら研究チームは、60人の乳児から採取した細菌の全DNA配列を解読した。チームはまた、腸内細菌が合成・分解したアミノ酸やその他の分子を同定した。腸内再起は宿主の生理機能に影響を及ぼす様々な代謝産物を放出する。

乳児は、セントルイスで生まれた30組の双子で、誕生から8カ月までの間に毎月糞便を採取(計402検体)された。

出産後最初の母乳はたんぱく質に富み、その後減少する。研究チームは、母乳哺育児の腸内細菌が、ある種のアミノ酸(メチオニン、イソロイシン、ロイシン、バリン、システイン、セリン、スレオニン、アルギニン)が少ないのを補うために合成レベルを高めることを発見した。

人工乳児では、非常に異なったアミノ酸が作り出されていた。母乳より人工乳に豊富に含まれるメチオニンとシステインの合成は低下し、逆に少ないヒスチジンとトリプトファンをより多く合成した。

「全ての人工乳のゴールは母乳のようであることであり、それは達成されていない」とダンテス教授は語っている。「細菌の種類ということで言えば似ているが、できることの遺伝的能力は、同じとは言えない。異なることが悪いというわけではないが、違いは違いだ。我々はその健康上の影響を理解する必要がある。」

多くの人工乳には現在、母乳の糖をを模倣するように糖分子が添加され、母乳哺育で形成される細菌叢を促進するようにデザインされている。特にそれらの糖は、ビフィズス菌の成長を促進する。研究チームはそのような人工乳を摂取した乳児でビフィズス菌がより多く生育することを発見したが、その代謝特性は母乳児のそれとは異なっていたという。

本研究には6名の大豆人工乳児が含まれていた。彼らから計37検体が採取された。中には、大豆人工乳への切り替え前の検体も含まれていた。大豆人工乳児の腸内細菌叢は驚くほど他の子供たちとは異なっており、ビフィズス菌はわずかだが、短鎖脂肪酸を生み出す遺伝子が多く含まれていた。この組み合わせは不健康な腸内細菌の兆候だが、大豆人工乳を選択するのは、腸が不安的だった結果であって、原因ではないのではないか、と研究チームはみている。大豆人工乳児のビフィズス菌は大豆に切り替える前から少ないことが多かったという。

「我々はなぜ親が大豆を選択したかを知らないが、ビフィズス菌が少ない乳児は夜泣きが多い傾向にあることは知っておくべきだろう。赤ん坊がうるさいとき、親は新しいミルクを試す傾向がある」とバウマン=ドゥーデンホッファーは語っている。「これらの子供たちは、我々が健康な発育に良いと考える微生物が極めて少ないという意味でユニークな存在である。なので私はこの結果が語っているのは、プロバイオティクスやビフィズス菌の成長を促すような介入から利益を受ける一群の子供が存在するということだと思う。」

ダンテ教授とバウマン=ドゥーデンホッファー助教授は現在、どのような子供が腸内細菌の微調整から利益を受けるのかを知る方法について熟考中であるとのこと。

出典は『ネイチャー医学』。 (論文要旨)      
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