2018.11.5
, EurekAlert より:
脳卒中の高い遺伝的リスクのある人々でも健康的な生活習慣をしっかり守れば脳卒中になる機会は低下するようだ、という英国ケンブリッジ大学などからの研究報告。
これらの知見は、脳卒中の遺伝的リスクが高い場合も含めて、全人口に対する生活習慣の重要さを明らかにするものであるという。
脳卒中は複雑な疾患であり、遺伝的因子と環境因子(食事、ライフスタイルなど)の両方が絡み合って起きる。
研究チームは、英国バイオバンクに登録された306,473名の白人男女について、90の遺伝子変異情報から遺伝的リスクスコアを開発した。参加者は40-73歳で脳卒中または心筋梗塞の既往歴が無いものだった。
健康的な生活習慣は、1)喫煙の有無、2)野菜・果物・魚介類が豊富な食生活、3)BMIが30未満、4)定期的な運動習慣を元に計算された。
平均7年間の追跡期間中の入院、死亡記録から脳卒中関連事象が集計された。
解析の結果、最も遺伝的リスクの高い人々は、最も低い人々に比べて、脳卒中の罹患リスクが35%高いことが明らかになった。
けれども、生活習慣を考慮すると、各々の遺伝的リスクの中で、最も望ましくない生活習慣の人々は、最も望ましい生活習慣の人々に比べて、66%リスクがさらに高まることが明らかになったという。
遺伝的リスクが最も高く、最も望ましくない生活習慣の人々は、遺伝的リスクが最も低く、最も望ましい生活習慣の人々に比べて、脳卒中の罹患リスクが2倍以上高かった。
生活習慣因子の中で最も重要な関連が見られたのは、喫煙と肥満であったという。
本研究は観察的研究であるため因果関係について確固たる結論を導けず、また生活習慣因子が限定されていること、対象者が白人に限定されているなどの限界を研究チームは指摘している。
とはいえ、集団規模が大きいことから遺伝的リスクと生活習慣の組み合わせの詳細な研究が可能であった。脳卒中の遺伝的リスクが高い人々でも、脳卒中リスクを軽減するための生活習慣介入が有効である可能性がある、と研究チームは結論付けている。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
|