2018.10.19
, EurekAlert より:
筋力トレーニングは、心血管系を身体全体の一部としてとらえる包括的な視点から特にその有用性が明らかになるだろう、というスペイン・ナバーラ州立大学からの研究報告。
「身体活動が体内の種々のシステムや臓器に影響を及ぼす代謝経路の理解が深まるについて、心血管系疾患に対する新たな治療戦略が見えてくる可能性がある」とスペイン・ナバーラ州立大学のミケル・イズケルドレジン教授は語っている。「筋量と筋力の低下は心血管疾患の忘れられたリスク因子のひとつであるが、高齢者でも筋量トレーニングによって取り戻すことは可能である。」
米国、スペイン、ポルトガル、スウェーデンからなる国際研究チームは、身体活動が、心血管系疾患の治療法のひとつであると強調する。また薬物とは異なり、身体活動にはほとんど副作用がなく、ある程度までは用量依存的に効果がある。つまり運動量を増やすだけ効果も増すのだ。」
「疾患を治癒し加齢による筋量低下を抑え、心血管系の健康を改善するうえで、レジスタンス運動と筋力トレーニングの巨大な可能性は、臨床治療の主流においてほとんど認識されていない」と研究者らは嘆いている。
そこで、ヒトの身体を全体的に捉える文脈の中で心血管系疾患を包括的に観ることの重要性を研究チームは強調する。心臓、血管、毛細血管などの心血管系は他の臓器から切り離して考えるべきではないという。心臓や血管と、骨格筋や脂肪組織、腸との相互作用を疫学的、生理学的、分子生物学的レベルで考えるべきである。
この包括的な視点は、患者に運動を処方したことのない医師にも大きな助けとなるだろう、と研究チームは結論づけた。
出典は『ネイチャーレビュー心臓学』。 (論文要旨)
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