2018.10.9
, EurekAlert より:
栄養補助食品の中でもポピュラーなプロテイン剤だが、含まれるたんぱく質の一部が変性しているものが意外に多いことがわかった。スペイン・セビリヤ大学の研究。
粉末のプロテイン剤は栄養補助食品の中でも最も多く消費されているものの一つであり、プロ・アマチュア問わずスポーツ選手や、スポーツ以外にも美容を目的とする人たちに摂取されている。
研究者のサンチェス氏は「粉末プロテイン剤の製造過程での熱処理は、製品の栄養価を低下させる可能性がありますが、研究ではこれまでほとんど注目されていませんでした。
(熱処理で変性しやすいアミノ酸である)リジンは、生物学上利用できない他の化合物に変わってしまいます。それに加え、熱処理を受けるとたんぱく質構造の変化を生じる可能性があります。このことは、プロテイン剤が消化されにくくなることを意味しているのです」などと説明している。
そこで今回の研究では、市販されている粉末プロテイン剤52種類を分析することにした。これらは、主原料がホエイ(乳清)たんぱくの濃縮物または抽出物であり、そのまま、または加水分解されて加えられたものだった。分析の結果、半数の製品は変性したリジンを6%以上含むこと、9%の製品はそれが20%以上含まれていることがわかった。
さらに、変性したリジンを最も多く含む製品は加水分解されたホエイ・ペプチドを含む製品(全体の12%)で、反対に最も少なく含む製品は乳清とカゼインの抽出物を含む製品であった。
また、ホエイ・プロテイン剤においては熱処理によるたんぱく質の変性の程度を知る指標として、製品のラベルにある炭水化物の含量をみることが間接的に役立つという。
専門家たちによると、プロテイン剤には様々なことが求められているだろうという。たとえばその摂取による健康上被害が全く生じないことや、品質管理がきちんとされたものが提供されること、専門的で承認された施設で販売されること、正規の基準で製造されることが必要であるという。
「栄養補助食品の消費する機会が増加すれば、健康被害も起こり得るということです。スポーツ選手が食事戦略において栄養補助食品を用いる際にはまずはじめに、栄養上の評価を行ってからでなければなりません。いかなる補助食品を使用する際にも、その人の栄養的評価がなされなければなりません。そしてそれは医学的・栄養学的な履歴、食事の評価、身体計測、身体と生化学的組成の詳細な分析ができる専門家によるべきです」
高品質のプロテイン・サプリメントを適切に使用することができれば、健康やスポーツの成績においてメリットを享受することができるという。たとえば、高齢者の筋肉量の損失を最小限にしたり、筋力が重要な競技をする選手のパフォーマンスを向上させるといったことを示すエビデンスがある。
出典は『LWT食品科学技術』。 (論文要旨)
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