2018.10.9
, EurekAlert より:
英国公衆衛生庁(PHE)は、飲料業界とのパートナーシップに過去の教訓を生かせていないようだ、という識者の意見。
先週、政府のアルコール政策に関するシニアアドバイザーであるイアン・ギルモアは、中年者にアルコールフリーの日を増やすことを奨励する新キャンペーンのために、企業から出資を受けるアルコール教育チャリティであるDrinkwareとの提携後、PHEでの役職を辞任した。
『英国医学雑誌(BMJ)』のエディトリアルの中で、ギルモアとジョン・ブリトン、リンダ・ボールドは、20世紀後半にあったタバコ企業との自発的な合意が、「彼らのアクティビティを縮小するためにデザインされた対策を、弱体化し、希薄化し、制約する」ことに貢献したことを指摘している。
Drinkwareとの自発的な合意に至ることで、「PHEは明らかに、アルコール企業との新しい提携は、ともかくも同じ運命を避けるだろうという妄想の犠牲者になっている」と彼らは書いている。
彼らは、キャンペーンによる週2日のアルコールフリーデイが、「現行の英国のCMO(最高医務責任者)らのアドバイス(毎週幾日かのアルコールフリーデイを)の適度な翻訳であるという点に疑問を投げかけている。
このキャンペーンは、禁煙や身体活動、その他の健康に良い生活習慣を含んだOne Youキャンペーンの一部であることから、「アルコール企業の出資がより広い健康メッセージと関連付けられることになる。」
最後に彼らは、どうしてPHEの担当者らが、アルコール企業が表向きはアルコールの消費を減らすキャンペーンに出資して幸せだと考えている理由について疑問に思っていないようにみえることである、と指摘している。
そうしていれば、彼らは企業がキャンペーンは成功しないと考えていることに思い当たるはずだ。あるいは、企業は、他のより効果的な政策から注意をそらせようとしているのだろう。たとえば、酒税の引き上げのようなことをアルコール企業は恐れているのかもしれない。
さらに重要なことは、Drinkawareを通じて、「アルコール企業はPHEと価値あるエンゲージメントを手に入れ、PHEのスタッフとの協力関係を確立したので、次のアルコール有害キャンペーンの策定や実施の時には、同じテーブルに並んで一緒にディスカッションに加わっているかもしれないのである。」
アルコール企業などが、製品の有害性を防止することに支払うのは正しいことだが、支払いは「法定課徴金によってなされるべきであり、自発的な同意によってではない」と彼らは述べている。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
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