2018.9.26
, EurekAlert より:
世界中で毎年900万人を超える患者が出る重要な医療問題である骨折の罹患リスクに関与する15の遺伝子突然変異が新たに同定された、という国際共同研究報告。
この研究は、過去最大規模のものであり、米国、欧州、カナダ、アジア、豪州の研究者からなる研究チームによって実施された。今回、チームは、骨粗鬆症の遺伝因子(GEFOS)コンソーシアム、英国バイオバンク、23andMeバイオテック社などの研究に参加した185,057件の骨折患者と377,201件の対照患者の全ゲノム配列を解析した。
今回骨折と関連することが判明したゲノム領域はすべて骨密度の変動に関連することが既に分かっていた領域であった。研究チームは、遺伝的危険因子と骨折の因果関係を検証するために、メンデルランダム化と呼ばれる追加の分析を行い、骨ミネラル密度と筋力という2つの因子だけが、骨粗鬆症の罹患因子に因果的に作用していることを発見した。
また、ビタミンDレベルを低下させる遺伝的要因は、骨折リスクを増加させないことも明らかになったという。したがって、ビタミンDサプリメントは骨折予防には効かない可能性が高いという。
関節リューマチ、乳製品からのカルシウム摂取、空腹時血糖値、2型糖尿病、冠動脈疾患など良く知られた骨折リスクの主要な因子には関連がみられなかった。
骨折リスクの高い高齢者は、しばしば(摂取量が少なく日光にも当たらないせいで)ビタミンDレベルが低い。そのため、骨折予防ガイドラインでは、ビタミンDサプリメントの摂取を推奨している。「我々の分析が示しているのは、ビタミンDレベルには直接的な骨折予防効果はみられないということだ」と研究チームは述べている。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
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