2018.9.25
, EurekAlert より:
臨床家、科学者、公衆衛生専門職らは、ヒトの寿命を限界まで延ばしたことを祝うべきである、という米国イリノイ大学からの研究報告。
論文の中で、疫学者のS.ジェイ・オルシャンスキィ教授は述べている。フォーカスを“レッドゾーン”に集中させるべきであると。つまり、フレイルと疾患によって特徴づけられる人生の最後の時期に。そして「健康寿命」を延ばすことに。
教授は、ヒトは今や寿命の限界まで達しようとしており、さらなる延長を達成する余地はあまりないと主張する。20世紀になった時点で、先進国に生まれた人の平均余命は45-50歳程度だった。19世紀の終わりに始まった、衛生設備や清潔な水の供給など公衆衛生上の努力によって、死亡率は低下し、寿命は急速に上昇した。ここ数十年間はむしろ寿命の延長はかなり鈍化しており、またヒトの歴史を通じて最大寿命には大きな変化はみられなかった。
現代では、先進国で生まれる子供の96%が50歳より長く、84%が65歳より長く生きる。全ての死亡の75%は65-95歳の間に起きる。
ヒトの寿命は無限に延びるという楽観論もあるが、教授は否定的である。生物学的な限界を数学的に表現できるというし、別の問題も発生する。
「あなたは最後の20年間を痛みと病に苦しみながら生きなければならないとしたら100歳を超えていつまでも生きたいと望むだろうか?」と教授は問いかける。「理想をいえば、そんな期間は可能な限り短縮したいと思うだろう。わたしが“レッドゾーン”と呼ぶその期間は最後の最後に可能な限り短くしたいだろう。我々は、健康に生きることを考えなしに寿命の延伸を考え続けることはすべきでない。」
出典は『米国医学会誌(JAMA)』。 (論文要旨)
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