2018.9.20
, EurekAlert より:
ダニの一種ツツガムシに咬まれると、赤肉(牛・豚・羊など哺乳類の肉)アレルギーを発症するおそれがあることが明らかになった。米国ウェイク・フォレスト・バプティスト・医療センターなどの研究。
ツツガムシは日本でも120種類以上が生息しており、野山・田畑・河川敷等に大量発生することがある。体長1mm以下と小さいながら厄介な虫で、咬まれると強いかゆみを伴う発疹ができる。ウェイク・フォレスト・バプティスト・医療センターの医師によると、ツツガムシは不快で迷惑なだけでなく、赤肉に含まれる糖鎖・α-galに対するアレルギー反応をまれに引き起こすようだ、とのこと。
過去5-10年ほど、同じくダニの一種であるマダニが同様のアレルギー反応をもたらすことが医学会に認知されていたが、今回、ツツガムシでも起こることが示唆された。
「患者さんが『夕食に赤肉を食べ、数時間後にアナフィラキシーを起こして目が覚めました』と話した場合、私はα-galのアレルギーだと推測します」と筆頭著者で医師のトライスター博士。「そういった症状がある場合、ふつう医師は、患者さんが最近ダニに咬まれたかどうかを訊ねます。ところが私たちは、患者さんが『ダニには咬まれていません。ツツガムシに咬まれただけです』と答えるケースに出会うようになってきました」
一般的なアレルギー反応は数分で発症するが、このアレルギーの原因物質である糖鎖α-galに対する反応は、3-6時間後と非常に遅い。もしα-galのアレルギーを持つようになってしまったら、唯一の対処法は哺乳類の肉を食べないことだ、とトライスター博士。
ウェイク・フォレスト・バプティスト・医療センターの症例研究に加え、ヴァージニア大学による報告では、α-gal アレルギーを持つ患者311人のうち、発症前にダニまたはツツガムシに咬まれた経験のあった人は301人おり、さらにその5.5%は「ツツガムシには咬まれたがダニには咬まれていない」と答えたとのこと。
今後の研究で、ツツガムシの消化管にもマダニと同様、α-galが存在するかを確認することが必要だ。また、アレルギー専門医はα-gal感作の診断において、患者のツツガムシ咬傷の可能性を念頭においてほしい、などとトライスター博士は話している。
出典は『アレルギー・臨床免疫学雑誌:実践』。 (論文要旨)
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