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[病気]  安全なレベルの飲酒など神話に過ぎない!?
2018.8.27 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

安全なレベルの飲酒など神話に過ぎない、というGBD2016アルコールコラボレーターズによる国際共同研究。2016年には世界で300万人近くの人がアルコールが原因で死亡しており、うち12%は15-49歳の男性であったという。

本研究では、疾病負荷の大きさを推定する場合のエビデンスの欠如を理由に、ビール、ワイン、リキュールの区別をしなかった、と主任研究者でワシントン大学教授のエマニュエラ・ガキドウ博士は語っている。研究チームは、アルコール関連の全ての死亡と健康アウトカムを用いて彼らの結論を導いたという。

飲酒パターンは、国によりまた男女によってかなりの違いが見られる。2016年には世界で20億人以上が現行の飲酒者と推定され、その63%は男性である。

本研究では、「平均飲酒量」は10gのエタノールを含む量を1単位として算出された。ワイン(13%)なら100ml、ビール(3.5%)なら375ml、ウィスキー(40%)なら30mlである。

通常の1単位は、国によって異なる。英国では8gのエタノールであり、豪州、英国、日本では各々10g、14g、20gである。

本研究は、グローバル・バーデン・オブ・ディシーズ(GBD)の年次調査の一部として、1990年から2016年までの195の国と地域におけるアルコール関連健康アウトカムについて評価したものである。

世界的にみて、飲酒は2016年には、死亡とDALY(障害調整生命年)の7番目に重要なリスク因子であり、年齢調整女性死亡率の2.2%、年齢調整男性死亡率の6.8%を説明する。15-49歳でみると、最も主要なリスク因子であり、年齢調整女性死亡率の3.8%、年齢調整男性死亡率の12.2%を説明する。

研究チームは、以下の疾患・傷害を含む23の健康アウトカムに対するアルコールのネガティブな影響を確認した。

●心血管系疾患:心房細動、心房粗動、出血性脳卒中、虚血性脳卒中、高血圧性心疾患、虚血性心疾患、アルコール性心筋症
●がん;乳がん、大腸がん、肝臓がん、食道がん、喉頭がん、口唇がん、口腔がん、鼻腔がん
●その他の非感染性疾患:飲酒による肝硬変、糖尿病、てんかん、膵炎、その他のアルコール使用障害
●感染性疾患:下気道感染症、結核
●意図的な傷害:対人暴力、自傷
●意図しない傷害:機械的力への曝露、毒物、火熱傷、溺れる、その他の意図しない傷害
●交通関連傷害

「我々は今、今日の世界でアルコールが死亡の主要な原因のひとつであることを理解する」と『ランセット』誌のリチャード・ホートンは語っている。「我々は今行動する必要がある。我々は、これら数百万の死を予防するために緊急に行動する必要がある。我々にはそれができる。」

本研究は、個人および集団レベルのアルコール摂取に関する694のデータソースとアルコール摂取のリスクに関する592の前向き及び後向き研究を使用した。40カ国以上から500人以上のGBD共同研究者が本研究に寄与している。

「これまでで最大のエビデンスの集積により、我々の研究は健康とアルコールの関係をクリアに示した。飲酒は、様々な方法で、世界中の実質的な健康損失の原因となっている」と筆頭著者で研究主任のマックス・グリスウォルドは語っている。

2016年に、15-49歳のアルコールによる死亡率が最も低かった上位10カ国中8カ国は、中東諸国だった(クウェート、イラン、パレスチナ、リビア、サウジアラビア、イエメン、ヨルダン、シリア)。残りの2カ国はモルディブとシンガポール。

死亡率が高かった上位10カ国中7カ国はバルト、東欧、中央アジア諸国だった(ロシア、ウクライナ、リトアニア、ベラルース、モンゴリア、ラトビア、カザフスタン)。残りの3カ国はレソト王国、ブルンジ共和国、中央アフリカ共和国。

「これらの国の厚生官僚は」とガキドウ博士は言う。「本研究の知見を検証しそれを政策に反映させ、国民の健康とウェルビーイングを改善するべきである。」

「国民のアルコール消費量を低下させるか、まったく止めるようにポリシーを改定すべき切実かつ緊急の要請が存在する。1日1-2杯の飲酒は健康に良いという神話は、そう、単なる神話なのだ。本研究はその神話を木っ端みじんに打ち砕くものである。」

出典は『ランセット』。 (論文要旨)      
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