2018.8.17
, EurekAlert より:
食物繊維の豊富な食事が、ストレスによる腸や脳へのダメージを軽減する可能性が明らかになった。アイルランド・ユニバーシティ・カレッジ・コークの動物実験から。
ストレスは健康上の重要な懸念であり、腸や脳において大きな変化を引き起こすおそれがある。それはやがて行動の変化に及ぶ可能性もある。
近年、腸内細菌とストレス関連疾患(不安感、うつ病、過敏性腸症候群(IBS))との関係について関心が高まっている。腸内細菌は短鎖脂肪酸を産生するのだが、これらは脳や腸の細胞の主要な栄養となる。なお、穀類や豆類、野菜類といった食物繊維を豊富に含む食品は、短鎖脂肪酸の産生を活性化させるとされている。本研究では、短鎖脂肪酸の導入によりマウスのストレスや不安様行動のレベルが軽減することが発見された。
ストレスが長期間に及ぶと、腸の内部と身体の他の部分のバリア機能を弱め、「漏れやすい」状態になることによって腸に影響するおそれがあるという。漏れやすくなった腸の壁からは、消化不良の食物の粒子や細菌などが通りぬけて血液中に入り、持続性の炎症を引き起こす。ところが、短鎖脂肪酸を用いた治療により、この「漏れやすさ」を改善できる可能性が見えてきた。
腸内細菌をターゲットとした、ストレス関連疾患に対する食事療法が人間に応用できることが期待されている。
出典は『生理学雑誌』。 (論文要旨)
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