2018.8.16
, EurekAlert より:
禁煙に成功した後の数年間は、体重増に気を付けていないと糖尿病リスクが2割ほど高まってしまうという。とはいえ、たとえ体重が増えたとしても禁煙によるメリットは大きく、心血管疾患やがんなどのリスクが低下、早死リスクも半減するとのことだ。米国ハーバード公衆衛生大学院の研究。
以前から、禁煙後の数年間に糖尿病を発症したり耐糖能が低下するリスクのあることが知られていたが、その原因はわかっておらず、喫煙者が禁煙をためらうおそれがあった。しかし今回の研究から、喫煙後の糖尿病等リスク上昇の原因は体重増によるものであるほか、一定期間が経過すれば糖尿病リスクは非喫煙者と差がなくなることが明らかになった。
今回の研究は、3つの大規模コホート研究から計17万人分以上のデータを分析したもの。禁煙してからの体重増加と、2型糖尿病や心血管疾患その他による死亡リスクの関連について調べた。
その結果、禁煙してからあまり年月の経っていない人の2型糖尿病発症リスクは、喫煙中の人に比べて平均22%以上高くなったという。リスクは禁煙後5-7年経った頃にピークを迎えるものの、その後は段々低下していった。なお、体重の増え方が大きい人ほど2型糖尿病リスクはより高くなり、体重が増えなかった人はリスクが上昇しなかった。また、禁煙後30年経つとリスクは元々の非喫煙者と同レベルにまで低下したという。
さらに、体重増が10kg以上だった人においても、禁煙後は全死因による早死リスクが半減、心血管疾患による早死リスクは67%減少したことが明らかになった。
研究者のフー氏によると、禁煙によるメリットの大きさを考えると、喫煙者が体重増をおそれて禁煙をためらうべきではないとのこと。禁煙によるメリットを最大にするために、健康的な食事と身体活動によって体重増を最小限に、などと話している。
出典は『ニューイングランド医学雑誌』。 (論文要旨)
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