2018.8.1
, EurekAlert より:
ビタミンDが妊娠高血圧や子癇前症を予防するという強い根拠は存在しないようだ、という英国ブリストル大学などからの研究報告。
一般的に妊婦の血中ビタミンDが低レベルであり、それが血圧を制御するホルモンの分泌を抑制する結果、高血圧と子癇前症のリスクが高まる。
これまでの集団ベースの研究でビタミンDが低レベルの女性は子癇前症のリスクが高いことが報告され、ビタミンDサプリメントの介入試験では潜在的有効性が示唆されていたが、低ビタミンDが子癇前症の原因かどうかは依然として不明なままである。
今回研究チームは、ビタミンDが妊娠糖尿病や子癇前症に影響を及ぼすかどうかを検討した。
研究チームは、ビタミンDの生産と代謝に影響を及ぼす遺伝子変異が、妊娠高血圧と子癇前症のリスクに影響を及ぼすかどうかを、エイボン親子縦断研究と世代R研究という2大疫学研究の参加者から7,389名の妊婦(うち751名が妊娠高血圧、135名が子癇前症)のデータを、メンデリアン・ランダム化という方法を用いて解析した。
研究チームはまた、別のメンデリアン・ランダム化分析を3,388名の子癇前症患者と6,059名の対照妊婦について実施した。
メンデリアン・ランダム化解析の結果、ビタミンDレベルが妊娠高血圧と子癇前症には直接的な(因果的な)関連を持つことを支持する根拠はないことが明らかになったという。
本研究には幾つかの限界があるという。例えば、この分析は妊婦に限定されているが、そもそもビタミンDが受胎率に影響するのであれば、選択バイアスが存在する可能性がある。
研究チームは、より大規模でのさらなる検討の必要性を強調している。「充分な検出力をもった臨床試験との組み合わせによって、妊娠の高血圧に対するビタミンD状態の役割が最終的に確立されるだろう」と研究チームはまとめている。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
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