2018.7.31
, EurekAlert より:
マルチ(総合)ビタミンやミネラルのサプリメントを摂取しても、心臓発作や脳卒中、心血管関連死の予防効果は期待できないという研究報告が、米国心臓協会の学術誌で発表された。
この研究を行った米国アラバマ大学のキム准教授は、関連する18の研究の結果を再解析した。これらの中には、無作為比較試験、前向きコホート研究などがあり、対象者はのべ200万人以上、追跡期間は平均12年であった。結果、マルチビタミンやミネラルのサプリメントの服用と心血管疾患による死亡リスクの低下には関連性が全く見出だされなかった。
「マルチビタミンやミネラルのサプリメントが心血管疾患を予防できないということを、栄養の研究者も含めて人々に周知するのは、非常に難しいことです。私たちの研究結果が、マルチビタミンやミネラルサプリメントに関わる売り文句を少なくし、心血管疾患のリスクを低下させるための立証された方法―つまり果物・野菜の摂取量を増やし、運動をし、喫煙しない―を実践する人々を励ますことに役立てばと期待しています」とキム准教授。
米国食品医薬品局(FDA)によると、サプリメントは医薬品とは異なり、その有効性や安全性について当局の承認を必要とする法律は無く、また製品ラベルに疾患の治癒、治療、緩和や予防といった表記は認められていない。
マルチビタミンやミネラルサプリメントを利用する米国人は30%に上り、世界のサプリメント市場規模は2024年までに278億ドルに到達すると予想されている。これらのサプリメントに心血管疾患の予防効果がないことを示唆する、信頼性の高い研究が複数存在したにも関わらず、その効果についての論争がここ何年も続いていた。
米国心臓協会は、心血管疾患予防を目的としたマルチビタミンやミネラルのサプリメント利用を推奨しないという。協会の首席予防医務官であるサンチェス医師は「健康な心臓のために健康的な食事を摂り、長く健全な人生を。果物や野菜をより多く摂り、過剰なカロリー、飽和脂肪、トランス脂肪酸、塩分、砂糖と食事性コレステロールを制限する、という、バランスのとれた栄養豊富な食事に代わるものはないのです」としている。
出典は『循環器:心血管性質と転帰』。 (論文要旨)
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