2018.7.24
, EurekAlert より:
母乳のユニークな組成が乳児の食物に対する感作を減らす助けになるようだ、という米国カリフォルニア大学サンディエゴ校からの研究報告。
本研究は、人工乳には含まれないヒト母乳オリゴ糖(HMO)の健康上の役割に更なる照明を当てるものであるという。
HMOは、ヒトの母乳にユニークな複雑な構造をした糖鎖である。ヒト母乳で、乳糖と脂肪に次いで3番目に豊富な固形分である。乳児はこれを消化しないが、プレバイオティクスとして作用し、乳児の腸内細菌叢が形成される助けになる。これまでの研究ではアレルギー系疾患の発症にも影響を与える重要な因子であることが示唆されている。母乳哺育を受けた乳児はぜん鳴、感染症、ぜん息、肥満などのリスクの低めであることが示唆されている。
今回の研究で、ラース・ボーデ准教授らの研究チームは、カナダの約3,500組の母子を対象にした縦断研究であるCHILD研究の参加者の421組の母子のデータを用いて検討を行った。
母乳検体は生後3-4カ月の時に採取された。乳児が1歳になった時に、パッチテストで食物を含めた一般的なアレルゲンへの感作状態について検査された。
1歳の時点で、421名中59名(14%)の乳児にひとつ以上の食物アレルゲンへの感作が認められた。HMOはどれかの種類が関係しているのではなく、全体としての組成が食物への感作に関係しているようであったという。
「パッチテストはかならずしもアレルギーの証明にはならないけれども、感作の証明にはなる」と共同研究者のメガン・アザッドは語っている。「乳児期の感作がかならずアレルギーを起こすわけではないが、将来的なアレルギー系疾患の強い予測因子として臨床的な指標になる。」
「我々の研究は、『有益な』HMOプロファイルが1歳時の食物への低い感作に関連していることを同定した」とボーデは語っている。「我々の知る限り、これはHMOと乳児のアレルギー発症の関連性を検証した過去最大の研究であり、初めて全体のHMOプロファイルを評価したものである。」
出典は『アレルギー
』。 (論文要旨)
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