2018.7.18
, EurekAlert より:
何か新しい運動技能を習得したい場合には、練習直後に短時間のエクササイズを行うのが有効なようだ。15分程度のエクササイズが脳の連携と効率を高め、得た技能を長期的に維持させる可能性が初めて明らかになった。カナダ・マギル大学の研究。
そもそもこの研究は、脳卒中にかかった人や怪我の後遺症がある患者において、リハビリ後にエクササイズをすると運動機能の回復が早まることを発見したのが始まりだという。
責任著者であるローチ氏は、これまでにエクササイズが筋肉や運動記憶の強化に役立つことを実証しており、今回の研究ではそのメカニズムの解明を目的としていた。脳と筋肉が相互作用したとき、脳では何が起きていたのか?身体が運動技能を維持するのを助けたのは何だったのだろうか?
これを確かめるため、研究チームは実験を行った。まず被験者にはビデオゲームをしてもらったのだが、このゲームは、筋力計を兼ねた操作レバーを素早く動かし、画面上の図形どうしをつなげるというものだ。その後15分間、エクササイズを行うか、または安静とした。さらにそれから、同様のことを短時間のバージョン、30・60・90分間隔で繰り返してもらった。
最後に、最初の作業開始から8時間後・24時間後にゲームを行い、運動記憶としての脳活動と連携について検査を行った。すると、ゲーム後エクササイズを行っていた人の方が脳の異なる領域を効率的に連携させ、脳神経の活性度が低いことがわかった。さらに重要なことには、エクササイズ群における脳神経の活性度の低さは、24時間後の運動技能維持と相関があったという。
このことについて、筆頭著者のデル・マソ氏は、エクササイズ群は脳神経の活性度が非常に低くなったために、神経を他のことに利用する余裕が生まれたのではないかとしている。
加えて今回、睡眠の重要性も明らかになった。開始から(睡眠時間をはさまなかった)8時間後の検査では、エクササイズ群と安静群に運動技能維持の差はみられなかったというのだ。このことから、睡眠が運動記憶の強化の最適化に作用することが示唆された。
出典は『ニューロイメージ』。 (論文要旨)
|