2018.7.6
, EurekAlert より:
脂肪を代謝して分布させる上での腸の役割を明らかにした、という英国キングズコレッジロンドンからの研究報告。肥満やその他の慢性疾患への個別化医療の開発につながるかもしれないという。
研究チームは、この種類の最大級の研究において、500組の双子のメタボロームを解析して、腸が脂肪の代謝と分布をどのように行っているかの全体像を描き出した。そして遺伝的因子と環境的因子の寄与率を明らかにした。
糞便検体の分析によって、ウエスト周辺の内臓脂肪の構築に関連するバイオマーカーが同定された。良く知られているように、この腹部脂肪は2型糖尿病、心疾患、肥満の発症に関わるリスク因子である。
腸内細菌の代謝物は、ある者のウエスト周囲に脂肪を蓄積するが、別のある者にはしない。その原因を双子研究で探ることによって、肥満の発症に至るメカニズムを解明することが目的であった。
腸内細菌が生産した代謝物の分析によって、腸内代謝にかかる腸内プロセスの17.9%だけが遺伝的因子によるものであり、67.7%は、個人の通常の食生活などの環境因子に左右されることが明らかになった。つまり、腸内プロセスは、食生活によって充分変えられるということである。
この研究の裏で、研究チームは腸メタボロームバンクを構築し、それは他の研究者らが理想的な腸内環境を構築する助けになるだろうという。また、腸内細菌と腸内代謝物の組み合わせに関する初めての包括的なデータベースを完成させたという。
「本研究は、我々が食べるものと腸内の処理プロセス、脂肪の生産の間の相互関係を理解することを実際に加速するものである。それは免疫と炎症にも関係する。糞便メタボロームの分析によって、我々は身体の健康と複雑な腸内の代謝プロセスの両方のスナップショットを得ることができたのである」と筆頭研究者のクリスティーナ・メンニ博士は語っている。
出典は『ネイチャー遺伝学』。 (論文要旨)
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