2018.7.3
, EurekAlert より:
エピガロカテキンガレートとタンニン酸は、先天性代謝異常による小分子がつくるアミロイド様凝集塊の形成を阻害するようだ、というイスラエル・テルアビブ大学からの研究報告。『ネイチャー』系の新雑誌に発表された。
先天性代謝異常の一種であるフェニルケトン尿症では、フェニルアラニンが蓄積しそれがアミロイド様の凝集塊を形成するという。同様に別の先天性代謝異常によって蓄積するアデニン、チロシンもアミロイド様の線維を形成する。
今回、研究チームは、インビトロおよび培養細胞を用いた実験系において、エピガロカテキンガレートとタンニン酸が、これら3つの代謝物によるアミロイド様繊維の形成を阻害することを観察したという。
研究チームはまた、コンピュータシミュレーションを用いてこれらの化合物が作用するメカニズムを明らかにした。
今回の研究は、2つの先行研究に基づいているという。第1の研究では、フェニルアラニンが自己集合能力を持ちアルツハイマー病などにみられるアミロイド様構造を形成することが示された。第2の研究では、他の先天性代謝異常で蓄積する他の化合物もまた自己集合能力を持ち、有毒なアミロイド凝集塊を形成することが示された。
「我々は、代謝疾患、神経変性性疾患、がんなど種々の疾患における代謝物の役割と重要性の理解における新時代に入ったところである」と筆頭研究者のシーラ・シャハム-ニブは語っている。「我々が開発したツールはパイオニア的なものであり、将来広い範囲の患者を助ける役に立つだろう。」
出典は『コミュニケーション化学』。 (論文要旨)
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