2018.6.20
, EurekAlert より:
死亡およびがんの発症リスクは、平均生涯飲酒量が1日1ドリンク未満の軽度飲酒者で最も低くなるようであり、がんの種類によっては飲酒量の増加と共に徐々に発症リスクが高まるようだ、という英国クイーンズ大学ベルファストからの研究報告。
米国のガイドラインは男性1日2ドリンクまで、女性1日1ドリンクまでを推奨している。日本では、男女ともビール中ビン1本、日本酒1合を適度な飲酒としている。
これまでの研究から、軽度から中程度の飲酒はがんの発症リスクを高めることが示唆されている。また発症リスクと飲酒量の間にはJ字型曲線の関係があることが示唆されており、適度な飲酒には保護効果があるといわれてきた。これは特に心血管系疾患による死亡リスクに当てはまる。
今回研究チームは、米国の疫学研究「前立腺、肺、大腸、卵巣がん検診トライアル」の参加者99,654名を平均8.9年追跡調査したデータを解析した。
追跡期間中に9,559名の死亡が確認され、12,763件のがんが発見された。データ解析の結果、従来の知見と同じく、J字型曲線の関係が、全死因による死亡リスクと飲酒量の間に観察され、最もリスクが低くなる飲酒量は、週1-3ドリンクであり、まったくもしくはほとんど(週1ドリンク未満)飲まない者は、1日2-3ドリンクの重度飲酒者および1日3ドリンク以上の過剰飲酒者と同じようにリスクが高まった。
けれども、がんの発症リスクと死亡リスクは、線形の関係がみられ、飲酒量の増加に伴って直線的にがんリスクが高まったという。
総死亡リスクとがん発症しリスクを併せると、軽度の飲酒者のリスクが最も低いという結果になった。まったく飲まない者のリスクは、ハザード比1.07、ほとんど飲まない者のリスクは1.08であり、重度飲酒者は1.10、過剰飲酒者は1.21だった。
本分析は、高齢者に限定され、また社会経済的因子によって歪められている可能性があり、決して軽度の飲酒に保護効果があることを支持するものではないと著者らは注意を喚起している。
出典は『プロス医学』。 (論文要旨)
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