2018.6.20
, EurekAlert より:
肥満女性は、十年以上も代謝的には健康であっても依然として普通体重の女性に比べると心血管疾患の発症リスクが高い傾向にあるようだ、という独ドイツ人間栄養学研究所からの研究報告。
この研究結果は、女性が高血圧や2型糖尿病のような代謝疾患を発症するとしないとに関わりなく肥満であることが心血管疾患のリスク因子であることを示唆するものである。
本研究はまた、代謝的に健康な女性もその多くがたとえ普通体重であっても長い間には代謝的に不健康な状態になっていくことを示したという。
研究チームは、米国で30-55歳の女性看護師を対象に1976年から実施されている看護師健康研究の参加者90,257名のデータを用いて、肥満と心血管疾患の関連を検討した。
参加者は、BMI、代謝的健康状態(2型糖尿病、高血圧、高コレステロールの有無)、代謝的健康状態の経時変化によってグループ分けされ、1980年から2010年まで追跡調査された。2年ごとに質問票に回答し、生活習慣、健康行動、医療記録などを報告した。
データは、年齢、食事、喫煙状態、身体活動、飲酒、民族、人種、学歴、閉経、アスピリン使用、心筋梗塞と糖尿病の家族歴を含む因子について調整された。
平均24年の追跡期間中に、6,306件の新規の心血管疾患症例が報告された。
心血管疾患のリスクは、BMIに関係なく全ての代謝的に不健康な女性で特に高かった。代謝的に不健康な普通体重の女性は、健康な普通体重の女性に比べて、心血管疾患の発症リスクが約2.5倍高かったが、代謝的に健康な肥満女性でも、代謝的に健康な普通体重の女性に比べて発症リスクが1.39倍高かったという。
重要なことは、最初は代謝的に健康だった肥満女性の84%、普通体重の女性の68%が、20年後には代謝的に不健康な女性になっていたことだという。
さらに、20年後に代謝的に健康であることを維持していた肥満女性でも、代謝的に健康な普通体重の女性に比べて、心血管疾患のリスクが1.57倍高かった。
出典は『ランセット糖尿病と内分泌学』。 (論文要旨)
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