2018.6.15
, EurekAlert より:
『脂質研究雑誌』は、がん治療のためのケトジェニック食の適否、マウスの炎症を抑える不飽和脂肪酸の種類、栄養信号に対する細胞応答のメカニズムなどを取上げた特集号を刊行した。
■ケトジェニック食でがん治療は可能? clinicaltrials.govには現在までに治療のためのケトジェニック食に関する15件の登録がある。ケトジェニック食は、高脂肪超低炭水化物食で、血中のケトン体を増加させエネルギー源とする食事法であるが、がん治療における前臨床的結果はさまざまである。研究チームは、幾つかの種類のがんでは、ケトン体をエネルギー源にすることができるので、この治療がうまくいきそうにないことを指摘している。
■マウスの健康における脂質バランス 研究チームは、オメガ-6系多価不飽和脂肪酸よりもオメガ-3系多価不飽和脂肪酸をマウスに与えたときのほうが、より多く体重が減り、白色脂肪細胞から褐色脂肪細胞への転換が高まることを発見したという。マウスでは、炎症の脂質メディエーターとしては、ただPGF2αの挙動だけが二つの多価不飽和脂肪酸に対して有意に異なっていることを示している。このプロスタグランジンはオメガ-6系脂肪酸から作られる。
■リソソーム酵素は栄養信号と自己消化に複雑な関与 リソソーム酵素の酸スフィンゴミエリナーゼ(ASM)が過剰発現すると自己消化過程が増加する。研究チームは、ASMが阻害されると、リソソームの栄養感受性複合体のスイッチがオフになり自己消化促進性転写因子が活性化されることを発見した。
出典は『脂質研究雑誌』。 (論文要旨)
|