2018.6.12
, EurekAlert より:
運動しないと筋肉が減少するだけでなく、神経系の健康も低下していくようだ、という伊ミラノ大学からの研究報告。
研究者らは、マウスを前肢は自由にしたまま、後肢を28日間拘束した。食事や毛づくろいは通常と同じように継続させ、ストレスはみられなかったという。実験終了時に、研究者らは、脳室下帯と呼ばれる脳の領域を調べた。多くの哺乳類でその領域には神経細胞の健康状態を維持する役割があるからだ。その領域にはまた神経幹細胞が存在する。
身体活動の制限は、後肢を拘束されたマウスの神経幹細胞の数を、自由に徘徊させたマウスに比べて、70%低下させたという。さらに、ニューロンと希突起膠細胞(神経細胞を支持し隔離する特別な細胞)の両方が、運動を制限されたことで完全な成熟を妨げられたことが明らかになった。
本研究結果が示しているのは、脚を使うことは、特に全体重がかかる運動を行うことは、脳が健康な神経細胞を生産するのための信号を送り、脳と神経系にとって必須であるということだという。運動を制限されると身体は新しい神経細胞の生産が困難になり、ストレスに対処したり変化に適応することを難しくするかもしれないのだという。
「神経学的な健康とは、一方通行的に脳が筋肉に、歩け、持ち上げろ、などと命令するだけではないのだ」とラファエラ・アダミ博士はコメントしている。
出典は『神経科学の最前線』。 (論文要旨)
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