2018.6.11
, EurekAlert より:
女性のために書かれた推薦状には、男性のそれに比べて、経歴や学歴について疑問を持たれがちな単語やフレーズがより多く含まれている傾向があるようだ、という米国ライス大学とヒューストン大学からの研究報告。
ミッキ・ヘブル教授ら研究チームは、二つの研究において、推薦状に含まれる疑いを呼び起こす表現について検討した。ここで「疑いを呼び起こす」とは、応募者の仕事に対する適正に疑問を提起する句や文のことである。
表現は4つのカテゴリーに分類された。否定的表現(直接的に何か悪いことを述べている)、気のないほめ言葉(若干お世辞的な表現によって誰かあるいは何かを間接的に批判している)、言い訳的表現(慎重または曖昧な表現)、的外れの表現(仕事とは無関係の方向に記述が逸れる)の4つである。
例としては、「候補者は、ある種挑戦的な個性の持ち主である( "the candidate has a somewhat challenging personality" )」や「彼女は、将来的に良きリーダーとなるだろう("she might be a good leader in the future")」といったものが挙げられる。
第一の研究では、平均して女性の推薦状は、男性の推薦状に比べて疑いを呼び起こす表現を含んでいる可能性が高いことが明らかになった(書き手の性別には関係がなかった)。ただしこれは否定的表現、気のないほめ言葉、言い訳的表現については真実だったが、的外れの表現には当てはまらなかった。ヘブル教授らは、疑いを呼び起こす表現は、それほど珍しいことではないと述べている。平均して、半数以上の推薦状に少なくとも1つの表現が含まれていた。
第二の研究では、審査者が実際にこれらのバイアスに気付くかどうかが検証された。米国全土から約300人の大学教授を選んで、4つの疑いを呼び起こす表現のいずれかを含む推薦状を評価してもらった。3つの表現(否定的表現、気のないほめ言葉、言い訳的表現)の存在は、教授らに推薦状の評価を下げさせた。的外れの表現については、評価に影響がみられなかった。
「私はあなたが強力な推薦状を書こうとしているならこれらの表現を用いないことを推奨する」とヘブル教授は語っている。「それは、男性以上に女性に不利に働くことに自覚的であるべきである。」
出典は『ビジネスと心理学雑誌』。 (論文要旨)
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