2018.6.6
, EurekAlert より:
感覚をベースにした食育で、子どもの野菜・果物を食べたいという気持ちが向上するという。東フィンランド大学が3-5歳の幼稚園児を対象に行った研究。
幼児の教育と養育において、健康的な食習慣を促進するためには感覚ベースの食育が新たなツールになるだろうという。今回、研究者は「サペレ・メソッド」という感覚に基づく食育法を用いた。この方法は、何か新しいことを学ぶ際には五感すべてを頼りに、見て、匂いをかぎ、味わい、触れ、聴く・・・という子どもの自然な方法を利用するものだ。
サペレ・メソッドでは、子どもたちは食物を囲んで積極的な役割を与えられ、感覚的な経験について共有するよう促される。感覚に基づいた食育は、毎日何食かを食べ、グループ活動に参加するという幼稚園の日常生活に非常に適している。
幼稚園が食育をしようとするとき、その方法にはいくつもの選択肢がある。たとえば、実際のセッションでそれぞれの野菜や果物について紹介したり、子どもに料理をさせてみたり、園内の菜園で子どもに自分の野菜を育てる機会を与える、といったことだ。食物関連のテーマは、本やゲームに取り入れることもできる。
「これをするにはいくつもの方法があります。しかし、常に感覚ベースの学び、子どもの方向づけや関わりから始まるのです。何かを一緒に行い、経験することも重要な側面です」と研究者のカーコネン氏。
今回の研究では、異なる幼稚園群において感覚ベースの食育、またはそうでない食育を受けた子どもの比較を行うことにした。軽食のビュッフェを行い、子どもがどのような食品選択をしたかを一人ずつ写真に撮って分析した。
その結果、感覚ベースの食育を受けた子どもは、野菜や果物を選択したいという意欲が増加したことがわかった。これは特に、低学歴の母親を持つ子どもにおいて顕著だったという。
概して、低学歴の親を持つ子どもの野菜・果物の摂取量は比較的少ない傾向があるが、幼稚園における食育が、家庭環境による食事の差異を少なくすることに役立った。
もう一つの興味深い発見として、サペレ・メソッドによる食育が食事の雰囲気を改善するようである、ということがあったという。好き嫌いの多い子どもにおいて、より多種類の野菜・果物を選ぶようになったとのことだ。
幼児期の食事の好みは、青春期〜成人期までついて回ることも多いため、この時期の良い食経験は将来の健康のために有益になりえるだろう。
出典は『公衆衛生栄養』。 (論文要旨)
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