2018.5.28
, EurekAlert より: 
短時間高強度運動のパフォーマンスを高める助けになるだろうとケトジェニックダイエットを実行するアスリートは再考が必要かもしれない、という米国セントルイス大学からの研究報告。
エドワード・ワイズ准教授ら研究チームは、16名の男女に、ケトジェニックダイエット(低炭水化物・高脂肪食)または高炭水化物食を4日間摂取させ、無酸素的運動パフォーマンスに与える影響について検討した。
その結果、ケトジェニックダイエットには、無酸素的運動のパフォーマンス向上効果が見られないことが明らかになったという。
「巷では、ケトジェニックダイエットは広く低炭水化物食という意味で使われている」とワイズ准教授は言う。「けれども、しばしば混乱がみられ、低炭水化物というと高たんぱく質であると考える人が多い。関連はあっても両者は別物である。真のケトジェニックダイエットでは、たんぱく質の量は通常のレベルのままなのだ。」
「ケトジェニックダイエットの目的は、体内の炭水化物を枯渇させることだ。もし食事のたんぱく質が多過ぎると身体はたんぱく質を使って炭水化物を作り出すので、目的に適わなくなる。体内の炭水化物が枯渇すると、ケトン体がエネルギー源として生成してくる。これが我々の身体を飢餓によるエネルギー不足から救ってくれるがそれには副作用が伴う。」
「ケトジェニックダイエットは減量のための方法だと一般には受け止められているが、かならずしもそうではない。一般的な食事にはエネルギー比率にして約60%の炭水化物が含まれている。したがって炭水化物を制限することは、あなたが食べる量を単純に減らすだろう。代わりのものを食べなければ、カロリー摂取量は減るので、体重も減るわけである。」
炭水化物を制限することによって影響を受けるエネルギー代謝は嫌気的代謝である。100m走や三段跳びなどの短距離走がこの代謝系に依存しているが、研究チームによれば、これがケトジェニックダイエットによって損なわれるのだという。
しかし、ケトジェニックダイエットによって恩恵を受ける集団もある。たとえばてんかん患者には有効と考えられている。
「このダイエットは、健康を最大限にしようと試みる人々の間で人気が高まっているが、本研究からいえることは、アスリートは低炭水化物食を避けるべきであろう、ということだ」とワイズ准教授は語っている。
出典は『スポーツ医学身体フィットネス雑誌』。 (論文要旨)
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