2018.5.18
, EurekAlert より:
喫煙者の食事の質は、禁煙者や非喫煙者のそれに比べて良くない傾向が高いようだ、という米国フェアフィールド大学などからの研究報告。
ジャクリーン・ヴェルナレリ博士ら研究チームは、米国国民健康・栄養調査(NHANES)から5,293名の成人データを解析した。食事データは24時間思い出し法によるもので、平均食事エネルギー密度(kcal/g)は、年齢、性別、人種、学歴、経済状態、飲料エネルギー密度、身体活動量、BMIで調整後に計算した。
解析の結果、喫煙者は、それ以外の人々に比べて、有意に少ないポーションの食品から約200kcal多いカロリーを摂取していた。
ヴェルナレリ博士は、「喫煙者は、高エネルギー密度の食事を摂る傾向があり、これはつまりより高いカロリーの食事を少量食べるということである。非喫煙者は、より低いカロリーの食品をよりたくさん摂る傾向がみられた」とコメントしている。
今まで一度も習慣的に喫煙した経験のない非喫煙者が、食品1gあたり1.79kcalを摂取しているのに対して、毎日喫煙する者は、2.02kcal/g、毎日ではない喫煙者は1.89kcal/gだった。
研究チームはまた、禁煙者の食品1gあたりの摂取量が1.84kcal/gであることも明らかにした。これは喫煙者に比べて統計的に有意に低い値だったという。
これらの知見は、タバコを吸うことは、本数に関係なく、食事の質を低下させることに関連していることを示唆するものであるという。
喫煙者のカロリー密度の高さは、しばしば果物や野菜の摂取量の低さのためであり、これはビタミンCの摂取量も低い可能性が考えられる。研究チームは、このビタミンC不足が、心血管疾患やがんのリスクを高めることに寄与するのではないかと考察している。
研究チームはまた、低カロリー密度の食事が、禁煙後の体重増加を予防することを示唆している。
ヴェルナレリ博士は、「我々は文献的に体重増加が禁煙の障壁になっていることを知っており、高エネルギー密度の食事がより高い体重に関連することも知っている。我々の結果が示唆しているのは、現在の喫煙者の食事のエネルギー密度に着目することは、大規模な禁煙計画の一部としての良好な介入目標になるのではないかということだ」と語っている。
研究チームは、本研究が自己申告の調査データであるため、情報に思い出しバイアスがかかっていることを指摘している。また横断的な研究であるため、因果関係についての結論は導けないことを指摘している。
出典は『BMC公衆衛生』。 (論文要旨)
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