リンクdeダイエット 世界の最新健康・栄養ニュース お問合わせ プライバシーポリシー リンク・著作権等について
ニュース詳細
[栄養]  西洋型食生活は、動脈保護免疫細胞を枯渇させる
2018.4.23 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

炎症から動脈を保護する免疫細胞が、高レベルの脂肪とコレステロールによって炎症を促進する細胞に再プログラムされるメカニズムが明らかになった、という米国ラホイヤアレルギー免疫研究所からの研究報告。

炎症は動脈が固く狭くなる動脈硬化の鍵となる寄与因子である。研究チームは、この過程における免疫細胞の役割について、異なる種類の免疫細胞の機能が動脈硬化の進行をどのように変化させるかといった研究を続けている。

「人々は動脈硬化というと単にコレステロールと食事、運動のことしか考えないが、実際にはそれは免疫疾患である」と筆頭研究者のダリア・ガディス博士は語っている。動脈がブロックされるのは免疫系が動脈壁の過剰なコレステロールと脂質に反応した結果なのだ。」

異なる種類の免疫細胞が、動脈硬化においては正反対の役割を演じている。あるものはプラークを作り上げるのに寄与し、別のものはそれを防御するのだ、とガディス博士は説明する。今回の研究では彼女らの研究チームは制御性T細胞(Tregs)と呼ばれる防御細胞に焦点を当てた。Tregsは、動脈硬化の発達を防止する。けれども研究チームは、マウスに高脂肪、高コレステロール食を与えた時、つまり西洋型の食事を与えた時に、Tregsが低下することを発見した。

ガディスらは、Tregsに何が起きたのかを明らかにしようとした。通常、Tregsの同定にはFoxp3と呼ばれるたんぱく質が用いられる。この指標は、別の種類の細胞へと再プログラムされると消失する。ガディスらは、Tregsが2つの蛍光マーカーで標識されたマウスを用いた。ひとつはFoxp3たんぱく質につけられた黄色のマーカーで、全てのTregsを見つけられる。もうひとつは赤いマーカーで、こちらはFoxp3と違って消失することがないたんぱく質に付けられた。

西洋型の食事を食べさせたマウスと食べさせないマウスの免疫細胞を15週間後に検証したところ、Tregsは全てのマウスの動脈に存在していることがわかったという。けれども、西洋型の食事をしたマウスでは、リンパ節と動脈に有意な数の「元Tregs」も存在していた。

分子解析の結果、この元Tregsは、濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)という細胞に変化していた。これはウイルスや細菌感染と戦うことを助ける免疫細胞である。それが動脈硬化に及ぼす影響については、詳しいことはほとんどわかっていなかった。

さらに検討した結果、Tfh細胞は動脈硬化を促進することがわかった。Tfhの生成を阻止すると、西洋型の食事に起因する動脈壁におけるプラークの発達が抑えられた。

また、HDLが、このTregsの低下を抑えて動脈硬化に対して保護的に作用することもわかったという。これは、研究チームが、HDLの主要な構成成分であるアポリポたんぱく質AIをマウスに投与することによって証明された。この処置によってTregsは西洋型の食事による影響に抵抗してTfh細胞への変化を起こさなかった。

ヒトでもこのようなT細胞の変換が起きるかどうかは不明であるが、心血管系疾患のリスクに免疫系が深く関与していることを明らかにする重要な知見であると研究者らはみている。

出典は『ネイチャーコミュニケーション』。 (論文要旨)      
 「栄養」 カテゴリ 最近の注目トピック
  たんぱく質源のちがいとその影響  
  ナトリウムはマウスの体内時計を調節することが判明   
  オーツ麦とライ麦の繊維が腸内細菌を通じて体重と肝臓を改善  
  がん生存者は自分の食事の質を過大評価  
  尿検査があなたの食事の質を明らかにする  
  コーヒー中の苦味物質に関する最新の調査結果  
 
翻訳機能ON/OFF選択
ON OFF
自分で探してみよう
最新ニュース(EurekAlert!)
最新文献(PubMed)
最新健康食品文献リスト
関連ページ
国立健康・栄養研究所
健康・栄養フォーラム
健康・体力づくりと
  運動に関するデータベース
栄養調査情報のひろば
「健康食品」の
  安全性・有効性情報