2018.4.6
, EurekAlert より:
成獣初期からのバランスのとれた慢性的なカロリー制限は、ネズミキツネザル(Grey mouse lemur、Microcebus murinus)の寿命を延ばすようだ、という仏MECADEVからの研究報告。
研究チームは、ネズミキツネザルを2群に分け、一方には成獣後すぐから30%のカロリー制限食を与えて、通常食群と比較した。
ネズミキツネザルの寿命は最大12年程度であり、今回の実験開始後10年目の最初の結果報告において、カロリー制限群が対照群と比べて、寿命がほぼ50%延長することを報告している。対照群の平均寿命が6.4年だったのに対し、介入群の寿命は9.6年であったという。
また霊長類においては今回初めて、最大寿命が延長すること観察したという。報告時点で対照群の最後の1匹が11.3歳ですでに死亡していたのに対して、介入群の3分の1が依然として生存中であった。
この寿命延長効果は、運動能力の維持を伴っており、認知能力の変化は観察されておらず、がんや糖尿病などの加齢関連疾患は減少した。カロリー制限ネズミキツネザルは、若年時の形態学的特徴をよく残存していた。さらに、脳内画像診断のデータから、脳の灰白質がわずかしか失われていないことも明らかになったという。白質の委縮が有意に低下していることと併せて、その理由はいまのところわかっていない。
これらの結果は、非ヒト霊長類においては、カロリー制限が現在最も効果的な最大寿命の延長方法であり、加齢のプロセスを遅くするものであることを示しているという。
出典は『コミュニケーション生物学』。 (論文要旨)
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