2018.4.2
, EurekAlert より:
自虐ネタを頻繁に使う人は、自分自身を笑い者にすることによって他者の承認を得ることを目的としており、より高いレベルの心理的幸福を示しているようだ、というスペイン・グラナダ大学からの研究報告。
この結果は、これまでのユーモア心理学の幾つかの結果と矛盾するものだという。これまでの結果の多くで、自虐ネタはそれを良く使う個人のネガティブな心理的影響と排他的に関連していることが示唆されていた。
研究チームは、スペイン語版ユーモアスタイルアンケート(HSQ; Martin、Puhlik-Doris、Larsen、Gray、&Weir、2003)による心理測定分析を妥当性を評価した。18-65歳の1,068人を対象に5つの研究を実施した。
次元性と内部一貫性を検証すると共に、ユーモア様式と幸福度(Well-being)、個性との既知の関連性を再現した(Big FiveとHEXACOモデル)。また、怒りの管理におけるユーモア様式の役割に関する外部評価指標のエビデンスを得たという。
例えば、自己強化的ユーモア様式の高いスコアは、より効果的に怒りを管理できる人々や怒りの感情や反応を発現しないようにしようとする傾向に典型的にみられた。
逆に、不適応的なユーモア様式(攻撃的および自虐的ユーモア)のスコアの高い人々には、怒りをうまく管理できない傾向がみられたという。特に、攻撃的なユーモアは、主として、他者に対する怒りの表現、および日々の生活において怒りを発散させがちな傾向と関連していた。
攻撃的なユーモアを使うことによって、彼は、肉体や言葉の暴力よりも明示的でない形で否定的な感情(怒り、優越感、憎悪など)を表現しようとしている。なぜなら、攻撃的なユーモアは、自己を正当化するコメントをユーモラスにほのめかせるからである。
自虐的ユーモアは、より怒りの抑制に関与しようとする傾向の高さに関連していた。けれども、この抑制はかならずしも他者に対する直接的な怒りを減じたり制御下に置いたということではなくて、どちらかといえばそのような怒りの反応を隠したり明示的に表明しないことへのきっかけになるものであるようだ。
出典は『個性と個人差』。 (論文要旨)
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