2018.3.23
, EurekAlert より:
2年にわたって15%のカロリーをカットした臨床試験が加齢を遅らせ加齢関連疾患の予防効果を示した、という米国ルイジアナ州バトンルージュにあるペニントン生物医学研究センターからの報告。
CALERIE(エネルギー縮小摂取の長期的影響についての包括的評価)は、非肥満者を対象としてカロリー制限の代謝影響を調べた初めてのランダム化対照臨床試験である。第II相試験では、53名の非肥満男女(21-50才)を対象として、34名がカロリー制限群に振り分けられて、2年以上にわたって摂取カロリーの15%を制限し、代謝及び酸化ストレスを測定した。残りの19名は自由摂取群(対照群)とした。
カロリー制限群は、平均8.7kg減量したがこれは本研究の目的ではなかった(対照群は1.8kg増加した)。貧血や過剰な骨損失、月経異常などの副作用は報告されなかった。実際には、気分と健康関連QOLの改善がみられた。
重要なことは、基礎代謝量が1日80-120kcal減量から予想される以上に低下したことだという。これは持続的な代謝的適応の結果である。この代謝的適応は、有意な甲状腺軸活性と反応性酸素種生産の低下を伴っていた。
「我々は、既に健康で太っていない人でもカロリー制限が有益であることを発見した」と筆頭研究者のリアン・レッドマンは語っている。
動物実験では、カロリー制限は深部体温の低下と安静時代謝量の減少を起こす。レッドマンは、CALERIEが減量でなく加齢に対する影響を調べていることを強調しており、速い代謝と遅い代謝について議論している。
「我々は哺乳類の研究からより小さい哺乳類はより速い代謝をもち、より短い寿命をもつことを知っている」とレッドマンは言う。
「抗酸化メカニズムや食事因子、生物学的因子など多くの良因子が代謝に影響するが、より遅い代謝は健康的な加齢に最も有益であり最も効率的にエネルギーを燃焼させる生き物が最も長い寿命をもつのだ。」
「CALERIE試験は、ヒトの加齢に関する2つの著名な仮説をサポートしている。ひとつはより遅い代謝速度が長寿につながるという仮説であり、もうひとつは、より少ない酸化損傷が長寿につながるというものだ。」
対象者数も少なく、期間も人の寿命に比べて極めて短いが、加齢の生物学的マーカーは改善されており、次のステップでは、より多くの加齢マーカーを検討することや、抗酸化的食品などにカロリー制限の効果を模倣する効果があるかどうかなどを確認していく予定であるという。
出典は『細胞代謝作用』。 (論文要旨)
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