2018.3.23
, EurekAlert より:
空腹になると脳が痛みを抑える信号を出すようだ、という米国ペンシルバニア大学からの研究報告。急性の痛みを抑えて食糧を探すための仕組みではないかという。
痛みは重要である。それがなければ熱いストーブに手をついても気付かない。けれども炎症などによる長期の疼痛は体力を消耗し重要な仕事の妨げになる。痛みは身体を動かす気力を奪うので生存の妨げにもなる。
研究チームは、わずか300個ほどの脳細胞が慢性の痛みに対して空腹感を優先させるように反応することを発見した。空腹のマウスは依然として急性の痛みに反応したが、充分に栄養を与えられたマウスよりも、炎症性の慢性疼痛に対する反応が低かったという。その行動は抗炎症性鎮痛薬を投与されたマウスの行動に類似していた。
さらにチームは脳内のどの部分が反応しているのかを検討し、空腹によって活性化されるニューロンとして知られるアグーチ関連タンパク質(agouti-related protein、AgRP)を活性化することで、慢性疼痛反応が沈静化し、急性疼痛反応は損なわれないことを発見した。
その脳内領域を特定するために、AgPRニューロンの一部ずつを活性化し、傍小脳脚核(parabrachial nucleus)に投影するニューロンが有意に慢性疼痛を抑制することを明らかにした。
出典は『細胞』。 (論文要旨)
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