2018.3.20
, EurekAlert より:
遺伝性大腸癌症候群および散発性大腸癌において、2種の細菌が一緒に働いて腫瘍形成を促進する可能性があるようだ、という米国ジョンズホプキンズ大学からの報告。
研究チームは、細菌が引き起こすバイオフィルムとがん形成との関係を調べるため、6人の家族性腺腫様ポリポーシス(FAP)患者から採取した結腸組織を調べた。
その結果、患者の約70%において結腸の長さに沿って分布したバイオフィルムの不均一な部分が示された。
研究者らは、バイオフィルムが主に2つのタイプ、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)および大腸菌からなることを発見した。
FAP患者からの25のさらなる結腸検体を用いた試験から、B.fragilis株がETBFと呼ばれるサブタイプであり、結腸上皮細胞における特定の発がん性またはがん促進性経路を誘発し、結腸炎症を引き起こす毒素を産生することを示した。
大腸菌株は、DNA突然変異を引き起こす、コリバクチンと呼ばれる物質を生産した。
「これらの2つの細菌の共存が必要であり、結腸がん発症のための“パーフェクトストーム”を作り出すのはこれらの効果の組み合わせである」と研究者は説明している。両方のタイプの細菌は、一般的に世界中の幼児に定着しており、潜在的に若年者の結腸がん率の上昇に寄与しているようだという。
出典は『サイエンス』。 (論文要旨)
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