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[運動]  高齢者の死亡リスクを低下させるために軽度の運動をわずか数分
2018.3.13 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

普段行っている日常的な行動をほんの数分間素速く行っていくだけで、低強度運動であっても、高齢男性の死亡リスク低下に関連する可能性があるようだという研究。通常、一般的に健康を増進するための身体活動は週あたり150分中強度から高強度の運動を行うというものであり、少しずつの運動でもこの運動量に到達した場合、それなりに有益な効果が得られる可能性があるようだ。

高齢男性にとっては低強度運動を行う事で構わないという点が、よりフィットネスレベルを高めて行く上でも有益であるようだ。これらの男性の大部分が身体活動と言っても低強度運動に留まっているということがその背景にあるからである。

週当たり150分間、中〜高強度のレベルで行い、1回あたりの運動時間を最低10分は行うという事は、確かに現行ガイドラインが推奨している運動量としては様々に広く用いられているものである。しかしながら、この様な運動パタンは、高齢男性が到達するには必ずしも簡単なものではないのも事実である。その他の運動パタンがどの程度高齢男性の死亡リスクを低下させるのに有益であるのかを検討するため、英国地域心臓研究(BRH)という研究のデータを用いて研究者らは分析した。

BRHでは、英国の34の町に住む40〜59歳の7,735人を対象に1978〜80年にかけて調査を行っていた。2010〜21年に生存していた3,137人に対して再度の健康調査を行い、一般的な体位測定の他、生活習慣、睡眠パタン、心疾患として診断されたかどうかについてなどの質問が問われた。さらに、体活動量計を7日間連続して起きている時間は装着するように依頼され、身体活動量を計測した。これらの被験者の追跡調査が被験者がなくなるまで、あるいは2016年の段階までのどちらか先に来る方までで実施された。

全体で、1,566人が体活動量計の装着に同意したが、これらのうちもともと心疾患を有していたもの及び、7日間連続して装着できなかったものを除外し、最終的に1,181人の男性(平均78歳)を対象に身体活動量を検討した。平均で5年間になった追跡期間中、194人の男性が死亡した。

体活動量計のデータから、低強度運動よりも強度の高いもの全てを含む身体活動量全体のボリュームが全ての原因による死亡リスクの低下と関連していた。

毎日30分間、例えばガーデニングやイヌの散歩などの低強度運動を余分に行うと、17%死亡リスクを低下することができた。座業中心性時間などの影響を与えうるような生活習慣因子を考慮に入れても、このような状態は持続していたのだ。中強度から高強度運動を1日あたり30分ずつ行う機会が増える毎に、約33%の死亡リスク低下が見られていたが、低強度活動を行う事の有益性は、この程度の運動であっても寿命を延長している可能性があるという点において、十分な量であるといえるものである。

また、10分以上の運動で中強度運動から高強度運動に運動強度を増加させることが短時間の運動を積み重ねるよりもより良い結果(死亡率の低下)を招くという点については何ら根拠が得られなかったのだ。定期的でなく、散発的に行うような身体活動であっても、41%の死亡リスク低下が見られている一方で、10分以上の運動を行った場合では、42%の死亡リスク低下であったのだ。

散発的な運動を積み重ねて週当たりの中〜高強度運動の活動量を確保することは、より簡単なようであり、約3分の2の(66%)男性がこのやり方で到達していた。一方、10分以上の運動を行う事によって運動量を確保したものは、16%にすぎなかったのである。

本研究は観察研究であって、確固とした根拠をこの結果から導きださえるわけではない。体活動量計を装着することに同意した被験者は、装着しなかった被験者に比べて比較的若く、またより健康的な生活習慣を保っていた傾向にあり、またこの研究結果がより若年層に当てはまるかどうか、また 高齢女性にとっても同様かどうかについては明確ではないのだ。

以上のような限界点はあるにせよ、本研究の結果は、現行の身体活動量推奨ガイドラインを、より高齢者向けに再検討していく上で、またより到達可能な目標にして行く上で、利用可能なものであると研究者は指摘する。

今後の身体活動量ガイドラインとしては、全ての身体活動の重要性が強調される可能性があるが、中強度運動が寿命を延ばしていく上では有益であるとも言えそうだ。ここでいう寿命というのは健康的に身体を動かせる範囲での健康寿命を指しており、加齢とともにとりわけ身体活動性は急速に低下しいていく可能性があることからも、この健康寿命を認識しておくことが重要な指標であると研究者は言う。また、身体活動量をどのように確保していくのかで、散発的な運動を行う事によっても、運動の継続時間とは無関係に有益性をもたらす可能性があるという点についても、再度指摘しておく必要がありそうだ、と研究者はまとめている。

出典は『英国スポーツ医学雑誌』。 (論文要旨)      
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