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[運動]  世界で最も成功した女性クロスカントリースキーヤーのように鍛える方法
2018.3.12 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

ノルウェーの女子スキー選手マリット・ビョルゲンは世界選手権チャンピオンを18回、ワールドカップ110勝を誇るノルウェーのクロスカントリー・レジェンドである。今年37歳のビョルゲンは2018平昌五輪でも2個の金メダルを取得しており、これまでの五輪で取得した金メダルと合わせると計8個となり、冬季五輪史上もっとも華やかな経歴を持つ五輪選手であるといって良いかもしれない。五輪など大きな試合で実力が発揮できるように調整しピークを保つ方法は様々だが、この様なトップ選手の調整法を垣間見てみることは非常に興味深いものではなかろうか。ノルウェー科学大学の研究者とノルド大学の研究者らが、このピーキングメカニズムの裏側にある調整法について分析したという研究。

ビョルゲンは、彼女のトレーニング情報を研究者たちに開示し共有した。ビョルゲンはユニークなアスリートであり、もっとも成功した女子の冬季五輪選手であり、興味深いトレーニング歴を有しているようだ、と研究者は報告する。彼女は異なったトレーニングモデルを有しており、将来的にコーチや選手達と彼女のトレーニングデータをシェアして行くのに役立つ情報提供がしたいと考えているようだ。

ビョルゲンは何もないところからいきなりトップ選手になったのではない。ノルウェー中央部にある農場で育ち、7歳からスキー競技を始めた。13歳になるまで、スキーのレースでは負けなしだったそうである。

19歳で世界を転戦するナショナル選手として活躍しはじめ、例に漏れることなく若年アスリートとしてその才能をうまく束ねたり開花させるために紆余曲折を経験する。もっとも成功を収めた期間は2010年から2015年までの間である。

ビョルゲンは20代になった頃からトレーニング日誌を記録しはじめ、フィットネス測定値を継続的に計測するための生理学的検査を受け、最大酸素摂取量や無酸素性作業閾値など、スポーツパーフォーマンスに影響を与える重要な因子についてデータを蓄積し、追跡的に調査されている。世界的レベルのアスリートについて長期的にトレーニングプロセスを追跡調査した研究についての論文はあまり多くなく、それぞれのケーススタディからトレーニングについての詳細を検討することが可能になったり、高いパーフォーマンスの背景にあるメカニズムについての洞察を進めることができるようにあったりということが現状としてはあり得るのだ。ビョルゲンのトレーニング記録から分かった興味深いこととしては、もっとも成功した期間の前の数年間に、彼女がトレーニング負荷を増大させているということだ。これらの期間でのトレーニング時間は1年あたり940時間にもなるという。

この結果はつまり、以前の研究で指摘されていた、持久性競技において成功を収めるためには長時間の量的トレーニングを実施することが重要であるという事を再確認できるものである、と研究者は指摘する。さらに、研究ではビョルゲンが高地トレーニングを行った時のデータや、主要な大会前に調整的に行ったいわゆるテーパー期間のトレーニングデータも検討されている。

結局のところ、もともとの才能と意志力を超えたところで、何が彼女の成功を導いたのか? 最も重要なことは、トレーニング量と時間であったと研究者は指摘する。研究対象とした17年間で、ビョルゲンは13,600時間のトレーニングを行っている。これは平均すると1ヶ月あたり70時間、週当たり15時間という計算になり、これを約20年間にわたって実施してきたのだ。この長期的な高強度トレーニング持続が、彼女のパーフォーマンスを特異的なものにしているのである。

様々な側面が分析されているが、その中でも特異的であったのはビョルゲンがこれまでのキャリアを通じてトレーニングと健康的な体重のバランスを保ってきたことである。多くのアスリートにとって、減量したり、極端な低体重に誘導してパーフォーマンスを相対的に向上させようという誘惑に駆られることは多いのだ。しかしながら、この様な形で成功しても、その成功は短期間で終わってしまうことがほとんどであり、長期的な成功を約束するものでないのである。

マリットは、パーフォーマンスが高いことは健康的でもあらねばならない、ということを体現しているようなアスリートである。プロであることについては、要求される水準も非常に高い状態が続くということであり、健康的な身体を維持することと、パーフォーマンスのために健康は犠牲にしながらも極限まで身体を追い込んでいくような姿勢との二律背反的な関係性が見いだされ、しばしばどちらが正しいあり方であるのかについての議論が分かれるところである。健康的な身体を保ちながら高いパーフォーマンスをすることは可能であることを彼女は体現しているのだ、と研究者はまとめている。

出典は『生理学の最前線』。 (論文要旨)      
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