2018.2.28
, EurekAlert より:
大うつ病性障害(MDD)の者では、アルギニンの生物学的利用能力低下が認められたようだ、という、東フィンランド大学、クオピオ大学病院等による報告。
アルギニンは身体が一酸化窒素を産生するために使用するアミノ酸である。一酸化窒素は、神経系、免疫防御メディエーターであり、血管調節においても役割を果たす。アルギニン生物学的利用能の比率(GABR)は、身体のアルギニン濃度の指標であり、この比は、これまで身体の一酸化窒素生産能を測定するのに使用されていた。アルギニンの生物学的利用能の低下は、心血管疾患の独立したリスク因子であることも知られている。
対象者は成人で、大うつ病性障害と診断された群99名と、コントロール群253名である。空腹時の血液試料から3つのアミノ酸の濃度(アルギニン、シトルリン、オルニチン)を分析し、このデータを用いてGABRを算出した。対称性ジメチルアルギニン濃度、非対称性ジメチルアルギニン濃度も測定した。そして、大うつ病性障害群とコントロール群で比較した。研究では、@8ヶ月のフォローアップ期間中、うつ病患者で、これらの濃度が変化したかどうか、Aうつ病の寛解が、濃度に影響を及ぼしたかどうかも検討した。
結果は、うつ病の者は、コントロール群より、アルギニンの生物学的利用能力が弱まっていたという。 対称性ジメチルアルギニン濃度、非対称性ジメチルアルギニン濃度の有意な差異は認められなかった。抗うつ薬、抗精神病薬の使用は、いずれも濃度に影響を及ぼさなかった。
研究者の期待とはうらはらに、うつ病から回復した者、うつ病のままの者の測定値に、明確な差異は認められなかったという。
出典は『情動障害雑誌』。 (論文要旨)
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