2018.2.23
, EurekAlert より:
有酸素運動をしたり筋トレをしたりする時間もお金もないのなら、せめて階段上りでもしては? 階段昇降運動は血圧降下作用だけでなく、脚筋力アップも期待できるかもしれない、とりわけその効果が閉経後女性でエストロゲン減少が顕著に見られ骨格筋及び血管性疾患に罹患しやすいものに対して有効であるようだという研究。
運動が全般的に良いものであることに異論を唱える人はまずいないといってよいと思われるが、閉経後女性にとっては、副作用のような弊害をもたらすことなしに、ある程度の効果を期待してどのような運動をチョイスするのか適性に見定めていくことはやや複雑な問題である。例えば高強度レジスタンス運動では、閉経後女性の加齢性の筋力低下に対する有効性が期待できると考えられている。しかしながら中高年ではレジスタンス運動を行うことで前高血圧症状態や高血圧症を導いてしまうリスクも存在する。これらの弊害は、有酸素性運動とレジスタンス運動を組み合わせることによって最小化することが可能であるが、多くの女性にとってこの組み合わせで身体活動を実施することの障壁が高く存在しているのだ。現実的及び自覚的な障壁としては、時間がないこと、お金や近隣に運動出来る施設がないこと、天気が悪い、運動するのが恥ずかしい、などである。
階段上り運動は、その点、有酸素性とレジスタンス性を同時に刺激可能な運動であり、心肺機能の改善と脚筋力アップに働き変えることが可能で、しかも家を出ることなく無料で行えることから、閉経後女性でも簡単に実施可能ということなのである。さらに、脂肪量減少という効果のみならず、血中脂質プロファイルの改善や、骨粗しょう症リスクの低下も期待できるのだ。本研究がなされるまで、階段上り運動は血圧や動脈硬化性、すなわち動脈壁の肥厚増加や硬度に対する影響を検討されていたわけではなく、本研究がこの種の研究としては初めてのものである。
本研究では、韓国在住の閉経後女性を対象にした調査のデータから検討されており、被験者は週当たり4回、192段のステップを1日あたり2〜5回実施した。結果、階段上り運動は、動脈硬度と血圧の低下を導き、脚筋力を向上させることが、 II度高血圧の閉経後女性において見られたと報告されている。
本研究は、階段上りのようないかにも単純な生活習慣因子の変更介入が、閉経に伴う健康上の変化や加齢性の変化による悪影響を減弱させる上で有益だということを明らかにするものであり、とりわけこれらの層の運動障壁を低下することに資する可能性を研究者らは期待しているようだ。
出典は『更年期』。 (論文要旨)
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