2018.2.22
, EurekAlert より:
ダイエット後に体重をコントロールする方法を提供してくれる可能性がある、脂肪燃焼を管理する分子スイッチが脳内で発見された。豪・モナッシュ大学の動物実験から。
特に長期の飢餓や減量の後に生じる「ヨーヨーダイエット」、すなわち、減量で減らした体重が戻ることの基になる過程において、体脂肪貯蔵量を制御していると思われる、脳内の分子スイッチが特定された。このスイッチを制御できるようになれば、肥満や2型糖尿病その他の代謝異常の治療法になるかもしれない。
今回の研究で、ゼーン・アンドルーズ准教授らのチームはマウスにおいて、空腹感を処理する脳細胞で、減量の後に脂肪貯蔵量を調整する、カルニチンアセチルトランスフェラーゼ(Crat)と呼ばれるたんぱく質を特定した。
私たちが減量をしている時(進化論的には飢餓状態にあるとき)身体は充分なエネルギーを提供するために、より多くの脂肪を燃焼させる。しかし同時に、私たちの脳はエネルギー節約のためにそれを抑えようとする。そして、食べ物が手に入ったらすぐに身体は脂肪の燃焼モードから蓄積モードに切り替わる。そして食べ物からカロリーを摂取する。
実験で、Cratたんぱく質を発見したチームは、マウスを遺伝子操作して、このたんぱく質のスイッチを切っておいた。そしてこれらのマウスの絶食時やその後に餌を与えた際には、通常のマウスよりも体脂肪が多く消費されたことがわかった。
アンドルーズ准教授によれば、ダイエットとリバウンドの繰り返しが体重増を招くのは、脳がこういった食事を短期の飢餓だと解釈し、今後の栄養不足に備えてより多くの脂肪を蓄積するよう促すためではないかという。
今回初めてCratたんぱく質が、空腹感を処理する脳細胞において、減った分の体重を脂肪蓄積で取り戻すよう指示するスイッチであることが特定された。このたんぱく質をうまく使えば、脳をだますことができ、食欲亢進や脂肪蓄積によって減った分の体重を元に戻さないようにできるかもしれないという。
出典は『細胞レポート』。 (論文要旨)
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