2018.2.20
, EurekAlert より:
始業前の身体活動プログラムに12週間参加した児童は体重と社会的感情的健全性が参加しなかった児童生徒に比べて有意に改善していたようだというマサチューセッツ総合病院(MGH)小児科の研究者らによる報告。
身体活動が子どもの健康に対して肥満及び肥満に関連した疾患リスクの低下をはじめ、学業成績や身体全般の健全性を改善する事はこれまでもよく知られている。これらの効果性にもかかわらず、子どもたちやその家族は身体活動性を増進できるような機会が欠けているという現状があるのだ。本研究では、学齢期児童生徒にとって実行可能でより革新的かつ計測可能なBOKSと呼ばれるプログラムの効果について検討をおこなっている。
本研究はリーボック財団のスポンサードによって行われた。米国及びその他の国の3,000ヶ所の小学校及び中学校で現在BOKSプログラムは利用可能である。プログラムでは、初期の12週間で週当たり3回の始業前運動プログラムを1回につき1時間ずつ実施する。それぞれのセッションはゲーム的なウォーミングアップ、ランニング的動作の活動、「今週のスキル」と題した自重運動プログラム、セッションエンドのゲーム活動、栄養関係のディスカッションとクールダウンプログラムを並行して行う、というような流れである。各セッションはボランティアリーダーによって運営され、BOKS運営に必要な資材やカリキュラムなどは無償で実施学校に提供された。
以前の小規模研究では、体脂肪率減少と有酸素性パーフォーマンスの改善がBOKS参加者において非参加者と比べて見られる事が報告されていた。今回の研究では、12週間のBOKSプログラムが被験者のBMIにどのように影響を与えるかについて、また週当たり2回のものと3回のもので効果性に違いが見られるかどうかなどが評価されることになっていた。結果、週当たり3回のBOKSプログラム実施を経験した生徒ではBMIが有意に改善していた。また、週3回群ではさらに、学校での取り組みでより良い成果が見られた。一方で、週当たり2回群でも気分や活力、エネルギーレベルなどが改善している傾向が見られたのだ。
小学校や中学校時代は健康的な生活習慣を確立し、より良いルーティーンを作り出していく上で、重要な時期であり、この時期の健康生活習慣によって慢性的な肥満や心疾患、うつ傾向など、米国の主要な死亡原因となりつつある種々の疾患に対する予防作用が期待できるのである、と研究者は指摘する。学校ベースでなおかつボランティアによって運営されるようなこの種のプログラムが有益である事が明らかにされたことで、今後の展開にも期待ができる、と研究者は希望を示唆している。
出典は『米国予防医学雑誌』。 (論文要旨)
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