2018.2.13
, EurekAlert より:
座る代わりに、1日6時間立っているだけで体重増加を抑制でき、実際に減量することすらできるという研究。メイヨ・クリニックの研究者らが報告している。
座業中心時間が長くなることと肥満流行は関連していて、心疾患や糖尿病も無関係では無い。欧州では成人が平均7時間を座業中心で生活していると考えられており、身体活動性の高い人であっても座って過ごす時間が一番多いのだという。
本研究では、立位姿勢が座位姿勢よりも実際に消費カロリー量が多いかどうかについて46の研究、延べ1,184人のデータをもとに分析されている。対象者は平均で33歳であり、60%が男性、平均的なBMIは24,平均体重は65kgであった。
結果、立位姿勢で過ごすことは1時間あたり0.15kcal座位姿勢よりも消費カロリーが多いことがわかったのだ。1日の座業中心時間を6時間として、65kgの人がこの6時間を立位に変えることで、54kcal余分に消費できる計算になる。すなわち、食事摂取量が変わらないと仮定すれば、1年で2.5kg、4年で10kgの減量が可能になるのである。
立位で過ごすことはカロリー消費を促すのみならず、筋群の動員を増加させ、これによって心臓発作や脳卒中、糖尿病などの関連することが想定される疾患のリスクを低下させる可能性がある。そのため、立位による利益は体重コントロールに留まらないといい得るのだ。
エネルギー消費と立位及び座位姿勢の間の関連性は研究結果が表している以上に強いものである。対象者は立位で静止して生活しているという前提であるが、実際の現場では動き回っているのが普通だからだ。突発的な動きに対応したりするような動作が日常的には起こってくるはずなので、単に立っているだけを前提としたデータは立位の効果を過小評価している可能性があるのである。
研究者らは、長期的な体重増加リスクを低下させるのに役立ちうる行動変化手段として座業を立位に置き換えることの可能性を示唆しているものの、今後さらなる検討が必要であることもまた認めている。この様な行動変容が現実的な戦略かどうか、また長期間の変更が可能かどうかについても研究者らは今後検討していきたいとしている。
座業中心性時間の延長を避けて行くことは重要な生活習慣変更になり得るのだ。動き回らずとも、単に立ち上がることは健康への大きな一歩になるのである。
出典は『欧州予防的心臓病学雑誌』。 (論文要旨)
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