2018.2.8
, EurekAlert より:
ジムでプロテインドリンクを愛飲しているウェイトリフターは多いが、これまでその効果がどれほどのものであるのか、議論になることも多かった。マクマスター大学の研究者らによる研究で、サプリメントとして摂取するプロテインは実際に筋力と筋サイズの改善に貢献するようである、と健常成人のウェイトトレーニング実践者を対象として行われたデータから報告されている。ただし、各サプリメント企業が消費者に対して宣伝しているほどにはその効果は大きくないようである、とも研究者は指摘する。
本研究はさらに、プロテインサプリメントの有益性はレジスタンストレーニング経験が増えれば増えるほど増大するが、高齢者においてはあまり効果的ではないことも示唆されている。これは加齢とともにより多くのサプリメントが最適な結果を求める為には必要とされるということを示すようだ。しかしこれにも注釈が必要であり、体重あたり1日1.6g程度でその有効性はプラトーになるという。
本研究はこの種の研究として最大規模のデータをもとにしたメタアナリシスで、これまでの矛盾した知見を整理し、明確化することができていると報告されている。臨床現場に於いては、これまでもサプリメントの有益性について様々な語られ方がなされてきているが、本メタアナリシスによって一応の決着を図ることが出来るのではないか、と研究者は指摘する。
研究者らは、特定の基準に基づいて検討した何千もの研究をスクリーニングしている。基準としては、ランダム化比較試験であったり、ヒト試験であったり、少なくとも6週間の研究期間を経た研究であるといったものがあった。総計で、49件の質の高い個別研究がピックアップされ、合計1,863人を対象としたデータからの分析が行われた。
筋量の増加と筋力アップの他にも、以下の様な作用が見られる事が明らかになっている。筋力トレーニングとプロテインサプリメントによる効果性は女性においても等しく見られるものであること、ウェイプロテインであるかステーキ由来であるかなどといった、プロテインの原材料に関係なしに同様の効果が見られること、摂取タイミングに関しても定期的な食事と一緒にとってもワークアウト後に摂取をしても影響は違わないようだということも、明らかになっている。また、加齢とともに、プロテインサプリメントの有効性は減弱する、ということも明らかになった。
たんぱく摂取は筋の健全性にとって決定的に重要であり、本研究で検討されたようなデータから、一般に摂取基準量とされる体重1kgあたり0.8g/日という量では少なすぎる可能性があることが示唆されている。今後さらに、特に高齢化するにつれて、その摂取量をどのように変えていけば良いのかについても検討をおこなっていくという。
出典は『英国スポーツ医学雑誌』。 (論文要旨)
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