2018.2.6
, EurekAlert より:
一般的な乳がん治療薬の組み合わせであるパルボシクリブとレトロゾールを併用する乳がん患者は、外因性エストロゲンが豊富に含まれる食品を避けるべきかもしれない、という米国スクリプス研究所からの実験報告。
研究チームは、細胞メタボロミクス技術を用いて、乳がん細胞に対するパルボシクリブとレトロゾールの併用効果を解析した。メタボロミクスは、細胞のメタボローム(代謝物の総体)を詳細に解析する技術である。
解析の結果、パルボシクリブ単独やレトロゾール単独では、培養ER陽性乳がん細胞ラインの代謝物に強い影響は見られなかったが、併用によって衝撃的な効果を示すことが明らかになったという。
「その組み合わせは、細胞増殖関連の代謝物に極めて強い影響を及ぼした。これは臨床試験の結果とも一致している」と筆頭研究者のベネディクト・ワルス博士は語っている。
研究チームはまた、食事性の外因性エストロゲン(エストロゲン様物質)の存在下では、極めて低い濃度の曝露でさえ、治療効果に大きな影響を及ぼし、薬物無添加時に匹敵する速度での増殖を再開したという。
「これらの結果は、食事中のエストロゲン様物質が抗がん治療のアウトカムに影響を与える可能性があることを示している。ゲニステインとゼアラレノンはヒトの食生活でしばしばみられる外因性エストロゲンだが、他のエストロゲンも同様に治療に抵抗する可能性が高い」と主任研究者のシウズダク教授は語っている。
出典は『細胞化学生物学』。 (論文要旨)
|