2018.2.5
, EurekAlert より:
ティーンの身体活動ガイドラインとしては、活発な身体活動とフィットネスを増進させる事によって心疾患リスクを低下できる事の重要性についてより強調する必要がありそうだ、という研究。
現行の英国健保による身体活動ガイドラインでは、5〜18歳の児童生徒は少なくとも毎日60分間の中〜高強度運動を行うべきであるとし、これによって現在の身ならず将来的な健康状態を改善できるとしている。しかし、エクセター大学の行った12〜17歳を対象とした本研究では、中強度運動と高強度運動での効果性の違いが指摘されているのだ。研究者らは、高強度運動のみが、心疾患リスク因子などの減弱を有意に発現できる可能性が高いと指摘する(ここで言う心疾患リスク因子とは、腹部周囲径やBMIの低下などである)。
心肺的フィットネスレベルや筋フィットネス(部分的には遺伝性であり、運動によって増強されうる)の変動性は、将来的な心疾患リスク因子との関連性がその他の疾患因子よりもより関連性が強いようだ、と研究者は指摘する。本研究はHELENA研究という欧州各国の研究者らによって集積された数多くのデータをもとに検討されている。以前の研究の多くは、中強度運動と高強度運動をひとまとめにしてその健康効果を計っていた。というのも、もともとガイドラインが中〜高強度運動を対象にしていたからである。そこで、研究者らはこれらの階層を区分して検討したのだ。
中強度運動には様々な健康効果があるが、心血管性疾患に関する限り、高強度運動の効果は有意に高いものであると言うことがわかった。高強度運動とは、少なくとも安静時に比べて6倍のエネルギー消費を要する運動であり、一方で中強度運動とは、安静時の3倍程度エネルギーを要する運動を指す。高強度運動とは、エアロビックダンスやサイクリング、スイミングやテニスなどを行った場合である。
上記の様な高強度運動は、フィットネスレベルを増進する上で重要な運動であり、心疾患リスクを減弱させる上でも牙儀になる運動であると研究者らは考えている。
本研究の知見は、さらにTV視聴時間と後年の循環器系疾患ほか様々な疾患の発症リスクの間に強い関連性が見られることも指摘している。循環器系疾患は心臓や循環器系、冠動脈を含む広い疾患の総称であり、心臓発作や狭心症、先天的心臓病や脳卒中も含まれる概念である。これらの循環器系疾患は英国においては総死亡数の4分の1を超える割合を占めている。もっとも、若年層ではこれらの疾患による死亡はまれであるが、循環器系疾患になる場合の端緒を探っていくと、この研究が示す様に幼少期にまでさかのぼることができる可能性があるのだ。
出典は『国際心臓学雑誌』。 (論文要旨)
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