2018.1.29
, EurekAlert より:
4つ以上の疾患をもつと診断される高齢者の数が2015年から2035年までに倍増するだろう、という英国ニューキャッスル大学からの研究報告。このような高齢者の3分の1は、認知症、うつ病、または、認知障害の診断を受けることも予想される。
研究チームは、今後20年間で、複数の疾患をもつ人の数が大幅に増加すると予想している。その結果、平均余命が延長しても、その期間の3分の2(男性では3.6年間、女性では2.9年間)において、4つ以上の疾患をもつことになるという。
今後20年間で、高齢者では、がん(179.4%増)と糖尿病(118.1%増)が増加し、関節炎やがんの発症率が最も高くなることが予想されるという。85歳以上の人々では、認知症とうつ病以外のすべての疾患が、2015年から2035年の間に、絶対数で2倍以上になるだろう。
キャロル・ジャガー教授は、人口の高齢化と医療シミュレーション(PACSim、Population Ageing and Care Simulation)のモデルを開発した。「私たちが、複雑な多疾患罹患状態と呼んでいる、4つ以上の疾患をもつ人々が増加する背景には、85歳以上の人口の増加がある。さらなる懸念は、私たちのモデルでは、将来、65歳から74歳の患者では、過去に比べて、2つまたは3つの疾患を抱えている可能性が高いことである。これは複数の疾患のリスク因子である肥満や身体的不活発の増加によるものである。」とジャガー教授は述べている。
英国では、1つの疾患の治療に対する医療の提供が定着しており、一般に依然として中心的な位置を占めている。
「これらの所見は、将来的に国民保健サービス(NHS、英国の国営医療サービス事業)の構造やリソースを考えるときに大きな影響を与えるものである。多疾患罹患状態が原因で、入院や長期入院の可能性、あるいは再入院率が高くなり、NHSの危機的状況は続くだろう。」とジャガー教授は述べている。
研究者らは、多疾患罹患状態の患者には異なるアプローチが必要であると述べている。
そして、1つの疾患に焦点を当てた医療モデルは、多疾患罹患状態の患者には不適切であると結論し、疾患の予防に重点を置く必要があり、多疾患罹患状態の患者に対しては個別の医療サービスの提供が必要であるとしている。
出典は『年齢と加齢』。 (論文要旨)
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